多くの科学者達は、リーフチェックが人的影響の優れた指標となり、多種多様なサンプルを
手に入れる好機を
提供する事を認めています。調査を1日で完了させるチームもあれば数日を要するチームもあるでしょう。チームの中には基準調査法を越えて、追加調査を実施
したいと願っているチームもあるでしょう。そこで私達は、サンゴ礁とサンゴ礁への人的影響の理解を、より深める手助けとなりうる調査法を下記に示します。
リーフチェック本部としては、これらの自由選択且つ付加的リーフチェックで行われた調査結果を報告する予定はありませんし、また調査結果についての質問は
実施チームに対してなされるものだと考えています。これら追加調査結果は、必要とする人に提示されるべきで、リーフチェック本部に対して提示されるもので
はありません。
汚染尺度としての大型有孔虫
Dr. Martin Pecheux
はリーフチェック参加者からの下記のようなオプション付加情報に興味を持っています。
大形有孔虫ゼニイシ、小さなホシズナも見える。撮影 佐伯信雄 石垣島崎枝海域礁地内
1.イントロダクション
大型有孔虫はCaCo3を排出してますが、長期間に渡る大型有孔虫モニタリングは実際に行われたことがありま
せん。大型有孔虫は生物学的尺度で捕獲しやすく大量保存が可能です。30年前にモーリシャスで採集した大型有孔虫のサンプルと、現在フロリダにあるサンプ
ルの微生物構造を比較して大量の情報を獲得出来ました。これによって歴史的サンプルの採集がどれほど重要か示しています。Hallock
Muller は、石屑で genera Amphisteginak
密度モニタリングが、実際的で信頼出来、コストの低い、サンゴ礁の生命力を測る尺度方法であると言っています。
近年、サンゴ礁は衰退して緊急の事態となっています。それは人為的な地域汚染という問題もあります
が、最近では世界的なサンゴ礁の大量白化現象が原因となっています。大型有孔虫はサンゴ礁共生の一部ですが、その大型有孔虫はいまや汚染に対してより危険
な状態にあります。大型有孔虫の再生が汚染によって阻まれており、寿命測定法によってモニタリングすることが出来ます。大型有孔虫の奇形はサンゴの白化現
象に大きく関係しています。現在その関係については、数十年前の研究ではわからなかったし、また現状でどれだけ関係しているか現時点ではわかっていませ
ん。奇形は、惑星的レベルで重要且つ新しい現象が起きている事を示しています。大型有孔虫の白化、奇形、生育低下は世界中で見られます(ハバナ/モーリ
シャス/フロリダ/オーストラリア/ジャマイカ/キャロライン島/ハワイ/ホンダラス/パナマ/日本などで)。しかし、実際測量されているのは1998年
のモーリシャスと、現在も調査を続けているフロリダのサンゴ礁です。
リーフチェック期間における大型有孔虫採集は、分析後、GCRMNプログラムとして
より詳しいモニタリングの第一歩となり、10年後には世界調査となるでしょう。
目標は2つあります。1つは将来におけるサンゴ礁浸食研究の為に、サンプルを出来るだけ早急に収集す
る事です。これらのサンプルは他の微生物/ostracodes/軟体微生動物/byrozoansなどをモニタリングする為にも活用されるでしょう(関
心をお持ちの方はご連絡下さい)。2つ目の目標は白化、奇形、大型有孔虫再生についての概要を得る事;大型有孔虫の生態における世界的な変異性の概要を得
る事です。
サンプリングは多くの時間を要しません。1度のサンプリングにかかる時間は5分〜10分で、ダイビン
グや準備には、それぞれ1時間程度の時間が必要になるだけです。海岸の砂でさえ有効なのです。それらのサンプルは解像度の高いx線を使用して
taxanomic寿命測定検査します。
2.
サンブル採集
サンプル採集に1リットルのビニール袋を利用します。三様の概観を調べる事がサンプル採集の目的です。:
- 石屑:2
平方m以上から静かに、表面積が両手ぐらいの石屑を幾つかを採集し、ビニール袋に入れます。
- 藻類:
緑/茶色/赤/厚みのあるくすんだ、どの藻でも良いです。一番良いのは高さ10cm程で既に着生植物によって汚れて見える物です。あま藻は避ける様にしま
す。藻に付着しているカスをナイフで削り取った物が良いでしょう。藻を袋に入れる時は、微生物が逃げてしまわないよう慎重にして下さい。10平方m範囲か
ら色々な種類の藻を1リットル用のビニール袋に一杯になるくらいまで採集します。
- 砂:最も良い物は0.5〜1mmサイズ
で、海底にある窪みや、流れ/波の強くない所(波の高さが5cm以下の所)で採集します。採集目的が砂の表面に付着している生きた微生物なので、砂の表面
か深さ1cm分を手、またはビニール袋の端ですくい、その作業を範囲2平方m内のあちこちで繰り返します。
私達は3〜6つのサンプル採集を勧めます。
3m水深で各3つ、10m水深で各3つ採集する
のが最も良いでしょう。しかしこれはあくまでも希望であって、各自の自由に委ねられるべきです。GCRMNから希望しているサンプルを送ってもらっても結
構です。
3.加工
バケツ(数リットル用のバケツならどんな物
でも良い)に十分な海水を入れ、酸素が無
くならない様に(特に藻の場合)保存すれば、早い方が良いですが、次の日にでも加工する事が出来ます。強力に付着している有孔虫も自然に遊離します。
クリーニング:
- 石屑:石屑の粒1つ1つ
を小さいブラシ(野菜洗い用や歯ブラシ)で糸屑の様な藻や有孔虫、
微生物を洗い落とす様にこすって下さい。石屑を捨てる前に石屑の輪郭を紙に写生して送って下さい。
- 藻類:柔らかい布でかき混ぜたり
擦ったりして、1〜2分間藻を海水で洗います。
その後、真水でも2〜3回洗って下さい。紙の間に藻を挟み水分を取ります。送る前に
日陰で1〜2日間紙の上で乾燥させるか、オーブン50度で乾かします。
洗い流す:
石屑、藻、砂、どの場合でも、バケツに残った水で(少量だが
重要)泥や小さい藻が落とされ、サンプルに付着し
ている水がきれいになるまで洗浄して下さい。バケツを水で一杯にして円をかくようにかき混ぜ、10秒間待ちます。密度の高い物質が沈殿し、流さない様注意
しながら上澄み液を捨てます。最終的に真水で洗浄する前に、海辺の海水で洗い流すのが便利です。
バケツに残った全てを慎重に紙の上に移し、上か
ら少量の水をかけます。日陰で乾かし、丈夫なパッケージで送ります。
4.
海辺でのサンプル
砂浜でのサンプルによって重要な情報を得られます。有孔虫類
は水の流れによって浸食されやすいにもかかわら
ず、90%の確率で採集したサンプルに残っているからです。0.5〜1mmのサイズの砂100gを10平方mの範囲で3つの場所から3つのサンプルとして
採集します。採集したものは乾燥するまで放置し、洗い流さないで下さい。
以前のサンブル
大型有孔虫や微生物が含まれている古いサンプル
や、以前に集められたサンゴのサンプルは、特に80年代の物と比較すると
非常に重要な物です。もしリーフチェックからのサンプル、又はそれと類似したサンプルを送って頂ければありがたいです。
送る
全ての乾燥したサンプル(有孔虫、藻)をパッケージに“科学
的サンプル”と書いて、
次の住所に送って下さい。:
Martin PECHEUX,Scientific Consultant
La Plan du Bois, 06610 La Gaude,FRANCE
E-mail:pecheux@
eureka.meta.fr
Tel: (33) 493 444 938
サンプルに関連する情報も送って下さい。(紹介
者名、位置、日付け、採集水深、石屑の輪郭、砂浜での採集場所、藻の種類、
採集時加工時に気が付いた事……手間、所要時間、抱えた問題、その場所で以前に採集された有孔虫の資料…)
これからも定期的に微生物のモニタリングに参加したい
かどうか、又、生きているサンプルを
送る事に問題がないかも記入して下さい。
5.
分析
近い将来、数百のサンプルを分析し、長期間に渡る研究の為に
それらのサンプルを保存するつもりです。
最初に分析する事は、大型有孔虫(生きている物と死んでいる物の両方)と小型有孔虫
(eutroph/oligotroph
indicators)生物構造の比較です。サイトで採集されたtaxanomicのサンプルは返却を希望するなら返却可能です。
私達の主要な目的は、大型有孔虫の寿命測定法を研究する事です。これらはとても解象度の高いx線を使って、
フランスのGrenobleにあるEuropean chrotron Research
Facilityに於いて研究されます。これらの研究は、大型有孔虫の再生を阻止している原因を、幼虫サイズを測る事によって明らかにするでしょう。そし
て大型有孔虫全ての生態系をも明らかにするでしょう。又、以前に数ヵ所で観測された、貝の奇形割合を通してサンゴ礁に与えられているダメージも明らかにす
るでしょうし、1年後にはおおよその報告が出されるでしょう。
- 大型有孔虫について定期的なモニタリングと一般的情報
- 1996年にHallock-Mullerによって発表された石屑の概観のモニタリング
- 大型有孔虫の奇形について現在出版されている『Review on Coral Reef
Bleaching,Pecheux』のOrganisms Involvedと
Shell AbnomalitiesとAnnexの章に書かれています。
有孔虫についてのより詳しい検査を希望しているグ
ループには、直接Martinに連絡を
取ってください。
6.
公園および保護区の財政
各チームが今年の夏に世界の色々な所に訪れる際、チームメンバーが海洋公園、保護区係員と
出会う機会があれば、公園の財政的な状況に付いての質問をお願いします。
公園または保護区の収入はどの様にして集められているか。使用料金(入場料、ダイ
ビング料、旅行者やその他に対する税金)、寄付、政府からの援助、又はそれら全ての組み合わせによるものか。
もし全ての組み合わせによる収入であるなら、それぞれの収入の割合、出来れば具体
的な金額について聞く事。
使用料金が課されているなら、それはいくらか。出来ればUS$で示して欲しい。そ
れらの料金は1年に1度支払われるのか、訪れる度なのか、ダイビングする度なのか。
使用料金が徴収されるのなら、その何パーセントが公園の経営に当てられているの
か。その中で何パーセントのお金が政府機関へ、または商業的な会社へいっているのか。(出来るだけ詳しく)
公園のマネージャーや管理人から見て、今現在の予算が公園や保護区の経営にとって
十分なものであるか。
もし十分でなければ、経営のどの部分にもっと予算が必要か。(宣伝、教育、設備、
備品、施設、モニタリング、研究、その他)
1年間に公園や保護区に訪れる人数を教えてもらえるか。(その見積もった数字がど
こから割り出した数字なのか・・・個人的な勘によるものなのか、ある特定の情報源から割り出したものなのか・・・)
その公園または保護区は実質的に経営されているか、それとも名前だけのものか。
公園または保護区は地域社会において論争の種になっているか、それとも支援を受け
ているか。もし、論争の種になっているなら、その反対意見を明らかに出来るか。
以上の質問は、保護区を持続させる財政的戦略に必要な情報となります。
全ての返答は直接下記の所にお願いします。
Andy Hooten
AJH, Environmental Services
4005 Glenridge Street
Kensington, MD 20895
301-942-8839 (V/F)
E-mail:Environmental_Services@compuserve.com or
AHooten@Worldbank.org
|