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自習方式・スノーケリング入門
スノーケリングは、三点セット
で水面下が覗けるとても手軽な海での遊びです。
特に南の海では、目の前を魚が泳ぐところやきれいなサンゴが手に取るように観察できて、時間のたつのも忘れてしまいます。
そんな楽しい遊びもほんの少し知識が足りなかったり、道具の選択ミスでケガをしたり、水を飲んだり、足がつったりのトラブルで、楽し
い
時間が台なし
になることがあります。今年の夏、初めてスノーケリングにチャレンジする人に、あるいは、家族旅行で我が子と楽しんでみようと考えてるお父さんに、参考に
なれば幸いです。また、ゆくゆくはスクーバダイビングに挑戦してみたいと考えている人にも、スノーケリングのマスターはとてもプラスになります。スキュー
バの基本と言ってもよい要素がスノーケリングにはあります。スキンダイビング(素潜り)については、今回は含んでいません。家族で、友達同士で、カップル
でなど初めての人を対象としました。
全く初めての人は、マスクスノーケルの使い方をこのマニュアルを参考にお風呂で練習して、海では必ず2人1組のバディシステムで、静
かな
海域の膝ぐらいの水深から初めてください。最後まで進んでマスターしてから背のたたない水深にも行けますが、すぐ背の立つ所に戻れる範囲で練習して下さ
い。あとは時間の積み重ねと回数が、あなたを自然にスノーケラーへと導いてくれます。
スノーケリングは、3点セットを上手に使いこなす遊びです。しかし、道具の選択も大事で、特に顔に合わないマスクや呼吸しにくいス
ノーケ
ルを選んでは上手になれません。グローブ・ブーツ・浮力具などは、軍手・運動靴・スイミング用などで代用可能ですが、マスク・スノーケルそしてフィンまで
は自分にあったものを選びましょう。気になる三点セットの購入費用ですが、台湾製などの安く
て機能の優れたものが釣具屋さんやアウトドアー店に見られます。三点セットだけなら1万円で
お釣がくるはずです。
たくさんの人が海と遊べるようになってくれることを望んでいます。
そして少しでも海での事故が減少してくれることも。
それから、海という自然を1人でも多く好きになってもらうことも。
【自習方式・スノーケリング・マニュア
ル】
1)コンデション&ポイント
初めての時ほど、良いコンデションと安全なポイントの選択が大切です。入り江地形の波うねりが入らないポイントを選びましょう。潮流のあるポイ
ントは避けましょう。南の島なら、風陰のリーフ内遠浅のビーチから始めましょう。リーフ先端で白波が大きく崩れているときは中止のサインです。沖出しの潮
流(リップカレント)が発生して危険です。少しコンデションが良くないけれど、せっかくここまで来たのだからといった無理をしてはいけません。*背の立つ
プールで最初の練習が出来ると理想的です。
2)バディシステム
1人でなく最低2人1組から活動し、お互い協力し助けあうことです。このマニュアルも、2人1組で学ぶを前提に作られています。スキューバダイ
ビングでは必至項目で、スノーケリングでバディシステムが可能になると、より楽しく安全になります。2人ならんで片方向ずつ観察できれば、2つの目より4
つの目がより面白い魚を見つけることが出来ます。フィッシュウォッチングしながらのバディシステムは、とても楽しいです。バディと探した魚を教えあって、
スノーケルをくわえて話ながら泳ぐと楽しくバディシステムを維持できます。一度離れたしまったバディを、水面で探して連絡をとるのは大変です。波があれば
見えにくく、声をかけてもバディが水面に顔を出してないと聞こえないからです。離れない方法をバディ同士で相談しましょう。たとえば左右のどちらに誰がく
るか、フィンの遅い人にリードさせるなどです。
3)用具の準備
泳ぎに自信のある人ほどフィンなしのマスク、スノーケルのみスノーケリングを試みますが、これは絶対やってはいけません。なぜならば、スノーケ
ルによる呼吸は制限された呼吸、呼吸死腔の増加を伴い、全身運動の水泳呼吸とまったく異なる呼吸法だからです。これは陸上で試してみてすぐわかります。マ
スク、スノーケルをつけて軽く走って見てください。すぐ苦しくなってしまいます。
*呼吸死腔=一呼吸量のうちの肺で使われない気道やスノーケル容積分。
スノーケリングにはマスク、スノーケル、フィンの三点セット使用が必至項目なのです。夏の海
でのスノーケリング事故原因は、大半がこれです。
泳ぎに自信のない人は、ウエットスーツを使用すると身体全体に浮力がつき、上達が早まり、背のたたないところでも浮いてます。浮袋は
風
の影
響を受けやすくあまりお勧め出来ませんし、いつまでも上達できません。スノーケリング用ライフジャケットはありますが、あまり普及してません。スイミング
用浮力補助具は、浮袋よりましですね。国産船舶用ライフジャケットは最悪で水上スキー用(アメリカ製)が優れています。
4)用具の着用
【マスク】
顔につける前にガラス内側に曇
り止めをします。専用液がありますが、ツ
バが手短か。ツバにあるアミラーゼが曇りの原因の脂肪分を分解します。直接マスクガラスにペっと吐くのは見苦しいので、指先につけてガラスにこすりつけ海
水でゆすぎます。(海草、たばこも可)買いたてのシリコンマスクが良く曇ります。これは素材のシリコンに油脂が残り、ガラス素材と相性が良すぎ付着する為
です。使用前に歯磨粉を着けた歯ブラシで良くこすります。歯磨粉に含まれる微細なコンパウンドで、シリコン油脂をこすり落とすのです。クリームクレンザー
も強力です。
日焼け止めクリームを顔に塗りすぎると、ガラス面に落ちて曇ります。
着用では、マスクベルトを下げすぎず耳の上を通すのがポイントです。後頭部下過ぎるとベルトが下がってきて、顔への密着が弱くなり水
が入りや
すくなります。マスクベルトの調整法を前もって理解し、きつすぎない程度に調節します。マスクに髪の毛が挟まっていても水が入ります。髪の毛が挟まってい
るかはバディ同士で確認しましょう。口髭は勿論水が入りますが少しです。
マスク呼吸は、普段陸上での呼吸が鼻呼吸なのに対し口のみ呼吸になります。間違えて水面下で鼻で吸うと、マスク内に水を呼び込んでし
まいま
す。陸上でマスクをつけて、深呼吸をイメージしながら(複式呼吸)マスク呼吸に慣れましょう。マスクに水の入りにくい表情はニヒルな顔です。笑顔は口元に
溝ができ入りやすくなります。でも楽しくなると歌を歌ったり、バディと話しながら泳いでる人もいますよ、スノーケルをくわえながら。
【スノーケル】
マウスピース部分の2個の突起を上下の歯で軽く噛み、回りを唇と歯の間にはさみます。口元は、しっかりすぼめてシールします。呼吸は大きく深い
呼吸《深呼吸のイメージ》です。スノーケル先端に手を添えると(
塞がない)、暖かい自分の息が出てるのが分かります。反対に最も悪い呼吸は、早く短い呼吸です。早く短い呼吸は、吐いた息をスノーケル先端から出る前にま
た吸ってしまい、酸素濃度を下げて苦しくなります。マスクベルトに止めるスノーケルホルダー部分の調整法を、前もって理解しておき、水の入りにくいスノー
ケル位置に修正します。
【フィン】
素足にはくフルフィットフィンと、ブーツを履いてつけるストラップフィンがあります。どちらのフィンも背の立つ水中を歩く時は、横歩きか後ろ歩
きでないと、フィンが邪魔して倒れそうになります。フィンには右左はありませんが、表裏があります。ストラップフィンは表裏を間違えやすいので注意しま
す。表裏を間違えると推進力が低下します。着用は波打ち際がペンギンみたいに歩かない分楽です。サンゴ礁の海では潮の干満で水が干上がり、サンゴだらけの
海岸を歩かなければならなくなる時があります。そんな時にはブーツとストラップフィンの組み合わせが安全です。ストラップの調整法を前もって理解して、
フィンの脱着をスムースにできるようにします。
【グローブ・ウエットスーツ】
あったほうが良いです。くらげ、サンゴ、日焼けから身を守ります。ウエットスーツは浮力があり、ライフジャケットの役割もあります。泳ぎに自信
のない人には、特にグローブ・ウエットスーツ使用を考慮して下さい。グローブは岩やサンゴに手を着くときの怪我を防ぎます。軍手で代用可能です。ウエット
スーツは身体全体に浮力を与えてくれ、水への不安感を取り除く最良の道具です。本来は体温損失を遅らせるためですが、スノーケリングでも長時間楽しむには
必要です。
5)スノーケリングスキル【必
ずバディシステムで、表示順に進んでください】
【1】“フィン着用での起き上がり方”
水面にうつ伏せで浮いた状態から立ち上がるのは、まず体をひねって仰向けになってから、お尻を落とすようにして立ち上がります。最初に必要な練
習で、連続動作でスノーケルに水が入らずスムースに立ち上がれるようになるまで、何度も練習してください。ポイントは急いで水面上に出ようとせず、浮力を
利用して水面下でゆっくり立てる姿勢になることです。慌てて立とうとして、バランスが取れず倒れた勢いで、サンゴに手をついて怪我をすることがあります。
【練習方法】
背の立つ腰以上の深さで、最初バディに手を取ってもらい、起き上がるとき補助を受けます。慣れてきたら補助なしで、そして交互に練習します。
【2】“スノーケルクリア”
スノーケルに入った水を、顔は水につけたまま排出するスキルです。このスキルをマスターすると、スノーケルに水が入る度に背の立つところに戻る
必要がなくなります。口元は、しっかりすぼめてシールして下さい。最近のスノーケルは排水弁付きが増えて普通の排気でもクリアしやすくなってまが、お腹に
力を入れて強く吹いてください《くしゃみをイメージ》。クリア後の最初の吸気は、注意深く吸ってください。残った水が気管に入ってむせることがあります。
注意深く吸うのは《熱いスープを吸うイメージ》。
スノーケルを塞ぐ程水が残っていても、注意深く吸うと塞いでいる水の中を空気が通って呼吸できるのが、シリコンスノーケルでのバディの練習を見
て確認できます。海水が気管に入ってむせることをチョーキングと呼び、対策は咳をするのとつばを飲み込むです。咳は海水を気管から出す為、つばを飲み込む
は海水を気管から食道に移すの意味です。排水弁付スノーケルは砂の上に無造作に置いたりすると、シリコンゴム排水弁に砂やサンゴ破片が挟まって水がどんど
ん侵入してくるので、便利な物ほど取扱いに注意しましょう。
【練習方法】
正座して首から水面に出る深さで、2人向かい合って交互に練習します。顔を水面に出して大きく息を吸い止め、水面下でスノーケルをくわえ顔を上
げずクリアします。クリアした後もすぐ顔を上げず、呼吸が継続できて合格です。スノーケルを水面下でくわえる時、マスクに少し水が入ります。それで次のマ
スククリアに移ります。
【3】“マスククリア”
マスク内に入った水を、マスクはそのままで抜いてしまうスキルです。
- マスクフレーム上端を軽く顔に押当てやや下に向きます。
- 鼻から弱い息を出します。《鼻歌&ハミングをイメージ》
- 鼻息を出しながらゆっくり上を向いていきます。これで水はきれいに排出されます。原理はマスク内空間に鼻から息を送りこむことに
よって水を押出すです。
《失敗しないポイント》
1)のマスクフレーム上端を押すは、強く上向きに押しては駄目。
マスク下部が顔から浮いてきれいに排出されない。
水がすでに入ってる時は上を向かない。鼻奥まで水が来て粘膜を刺激。
2)で鼻息を強く出すと中の水が跳ね返って目にかかる。
【練習方法】
正座して首から水面に出る深さで、2人向かい合って交互に練習します。最初は水を入れずシミレーションで練習します。連続動作でシミレート出来
たら、マスクに水を入れて練習します。水を入れたつもりでも入ってない場合があります。バディに水が入っているか見てもらい交互に練習します。泳ぎながら
マスククリアできるようになれば、合格です。
【4】“フィンワーク”
フィンは速く進むための道具じゃなくて、楽に進むための道具です。スノーケル呼吸はマスクで鼻が塞がれた、制限された呼吸です。その制限された
呼吸でスムースに泳ぐための道具がフィンです。手は使いません。手を使うことは水中抵抗を増やすだけでなく、フィンワークの上達をふせぎます。深いゆっく
りした呼吸に併せたゆっくり、大きく、膝を曲げすぎないように、キックします。足首はバレーダンサーの用によく延ばして力を抜き、足の付け根から爪先まで
足全体を使います。フィンが水面に出てしまい水面を叩くフィンワークは、効率の悪いやりかたです。ダウンキックする時、太もも前の筋肉を使い水面下にしっ
かりゆっくりフィンを下げ入れてください。
【練習方法】
腰ぐらいの深さで交互に練習します。速度を変えたり背泳での練習も効果があります。背泳での練習はスノーケルをくわえてると水を飲むので、ス
ノーケルはくわえず、あごを引いて顔は完全に水面に出して練習します。背泳での練習では、フィンワークに使う筋肉がどこかよく分かります。
【5】“水面姿勢”
背筋を良く伸ばして、顔は斜め前方に向けます。プロペラの役割に当るフィンが水面下にしっかり入るように、上半身を持ち上げぎみにします。全く
身体の力を抜いて、猫背になったりお尻だけ大きく水面に出たりでは推進効率が悪く、より省エネルギーが必要なスノーケル呼吸やフィンワークにマイナスで
す。またあまり真下ばかり見てると、スノーケルに水が入りやすくなります。
【練習方法】
以上は自分のスノーケル姿勢をバディに見てもらうことで改善できます。なお、水面に浮いてるバディに離れた所から声をかけても、耳が水面下に入っている
とあまりよく聞こえません。すぐ近くにいてバディの耳元で声をかけるか、身体に触れるのが確実です。
【6】“水面確認”
魚が一杯の水中を見ていると時間を忘れてしまい、方向感覚も失われます。時々鼻まで顔を上げてスタート地点を確認してください。上記しましたが
耳が水面下に入っていると、バディが大声を出して呼んでもあまりよく聞こえません。離れてしまったバディを確認して合流するにも、水面確認は大事です。
【7】“水面移動”
流れのないところなら身体の力を抜いて何もせず休息できます。しかし水面は、浮袋ほどではないにしても風波の影響を受けます。浮力を確保してく
れるウエットスーツも水着のみより風波の影響を受けるので、風の強い時は最初風上に向かって進み、帰りは風に追われて帰るのが楽で安全です。また潮流があ
るかどうかは、水面に浮かぶ海草などを見て確認します。強い潮流のあるところは避けましょう。弱い潮流なら最初潮流に向かって進み、帰りは潮流に乗って戻
ります。
【8】“足のつり”
フィンワークで普段あまり使わない筋肉を使用してつってしまうことがあります。足を延ばしフィン先端を掴み、膝を伸ばして手前に引いてくださ
い。ふくらはぎ筋肉を延ばしてくれます。つった筋肉をたたいたりしてはいけません。またつりやすくなります。つりやすいフィンワークは、まだマスターでき
てないのかもしれません。バディ同士で足のつりを直すは、相手のアキレス健を片手で持ちもう片方の手を開
いて足の裏に当てて押し、アキレス健を伸ばすです。
6)用具の手入れ
いずれも真水で洗って陰干しします。それから、三点セットを昼間日なたにおきっぱなしにす
ると、紫外線でゴム部分が痛みやすくなります。
7)おまけ
個人的にはスノーケリングでとても浅い所、胸の着くぐらいの所で小さなハゼやカエルウオなどを身近に観察しながらボーッとしてるのが好きです。健康な海
岸の波打ち際や磯には、驚くほど小さな生物が満ちあふれています。
8)最後に
このマニュアルの非営利利用は自由です。改編しての利用は危険ですのでやめて下さい。転載希望の方は連絡ください。このマニュアルを利用した結果につい
ては、作者は一切責任を負いませんので、自己責任において活用してください。
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