1999.11月 No.1(創刊号)
陸上景観と引けを取らないほど海域の景観もすばらしく、海岸線から200〜300mほどのイノー内にエダハナガササンゴ(写真)
があり、まるで海の中に敷き詰めたじゅうたんのように見えます。もしかしてこの大きさは世界一かも!「いや違うぞ」とおっしゃる人は
海游まで。1998年のサンゴの白化現象でも生き残り、今も元気な姿を見せてくれています。
サンゴ礁は、私たちにすばらしい恩恵を与えてくれています。美しい景観を持つことで毎年多くの観光客は訪れます。また、 海中景観もすばらしくダイバー憧れの海であります。このような景観機能のほか、毎日豊富な魚介類を提供してくれる漁場機能、 毎年の台風や強い波から島を守ってくれる防災機能、浜辺で楽しむ海水浴やビーチパティなどのリクレーション機能、またその他に 生物の共存機能、環境浄化機能、二酸化炭素の循環機能、環境教育の場としての機能などがあります。このようにサンゴ礁域の海域は すばらしい機能をいっぱい持っています。私たちは昔からその恩恵にあずかり、その利用のしかたなど豊富な知識を持って 維持していたはずです。しかし、この25年間にオニヒトデの大発生、慢性的な赤土流入、サンゴの白化現象など 予想外の大きな現象に見舞われ、海域を生活の糧とする会員の皆さまはじめ多くの人々が将来的な不安を感じさせる状況下にあります。 ただ漠然と海域悪化の進行をなげくよりも、今こそ大勢の人の目で海域を監視し、大きな問題につながる小さな兆候も見逃さない状態に しようではありませんか!
海域全体の現況がつかめることにより仕事にプラスになるような知識や情報が豊富になるし、駆除生物に対する 初動活動が敏速になります。このすぐれた海域は自分たちでうまく利用しながら守っていく必要があり、それは私たちの 義務であると思います。
八重山サンゴ礁保全協議会は、八重山のサンゴ礁保全のための情報のネットワークの場を目指した非営利組織です。
事務局を八重山海中公園研究所に置き、現在、吉田稔代表のもと、八重山のダイビング関係者を主体とした個人や団体の50を越える
会員から構成され、活動費は助成金によってまかなわれています。およそ10年ほど前に会は発足し、当初はサンゴ群集復元のための
サンゴ移植を中心に活動を展開しましたが、紆余曲折を経て、現在はサンゴ礁の監視活動に力を注いでいます。これからも、
サンゴ礁保全のための理想的な組織を目指して、いろいろな試行錯誤を行っていくかと思いますが、今後ともご理解・ご協力のほどよろしく
お願い申し上げます。以下に八重山サンゴ礁保全協議会の歩みを簡単に記します。なお、当会では新会員を募集しています。
入会費・会費は一切不要ですが、八重山のサンゴ礁の情報を提供いただけることが入会の条件となります。
興味のある方は事務局までご連絡下さい。(八重山サンゴ礁保全協議会 事務局)
会の歩み
1990年02月:設立総会開催 富士フィルム・グリーンファンドより助成金取得
1990年02月:ニュースレター「ウル」創刊
1990年04月:サンゴ移植実施(竹富島南海域)
1990年12月:マリンパーク研修会開催(講師:西平守孝氏)
1991年03月:海辺の生物教室開催(講師:西平守孝氏)
1991年03月:海の掃除実施
1991年05月:日本アムウェイより助成金取得
1991年06月:八重山サンゴ礁復元事業検討会開催
1991年09〜12月:サンゴ移植実施(試験移植、ヨナラ水道など)
1992年03〜10月:サンゴ移植実施(新城島東、竹富島西など)
1992年05月:オニヒトデ駆除実施(白保、川平、黒島など計387個体)
1993年05月:日本アムウェイより助成金取得
1993年06月:サンゴ礁復元検討会・移植サンゴ視察会開催
1994年03〜05月:サンゴ移植実施(新城島北、密漁サンゴ移植など)
1995年02月:サンゴ移植実施(鹿ノ川湾)。以降、会の活動休止
1997年06月:再発足総会開催(役員、会則変更、会員は個人主体に、代表は海中公園の岩瀬文人氏)
1997年11月:稚オニヒトデ調査説明会及び一斉調査実施
1998年05月:平成10年度総会開催(代表は海游の吉田稔氏、活動はサンゴ礁調査に情報交換会)
「海の危険生物の被害と治療法」
1998年09月:サンゴ礁速報「夏季号」及び白化速報刊行
1998年12月:サンゴ礁速報「秋季号」刊行
1999年06月:平成11年度総会開催(サンゴ礁監視のための調査を強化)
特別講演会「現在の八重山のサンゴ礁」同時開催
1999年06〜09月:サンゴ礁調査(マイポイント・簡易調査)実施
1999年11月:ニュースレター「サンゴ礁」創刊
詳細な日程は未定ですが、来る11月の第3週に、東 海大学助教授で八重山サンゴ礁保全協議会の理事でもある横地洋之氏を講師に招いて、稚オニヒトデのモニタリング勉強会を開催いたします。 稚ヒトデの勉強会を本会で取り上げるのはこれで2度目であり、なぜこのような勉強会を度々催すのか疑問に思われる方もいるかもしれません。 そこで、稚ヒトデ探索の目を養う必要性を、ここで簡単に述べたいと思います。
・なぜ、まだオニヒトデが問題になるのか
サンゴ群集の健全な生育を妨げる大きな要因として、赤土流入などの水質や底質環境の悪化、オニヒトデの大発生及び 異常高水温が挙げられます。この中でサンゴ群集に与えるインパクトが最も大きいのがオニヒトデの大発生です。ところで、 マイポイント調査にも記されていますが、現在、八重山ではオニヒトデの大発生の兆しは見当たりません。従って、現時点で オニヒトデに対して神経質になる必要はないように思われることでしょう。しかし、オニヒトデが再発生するのは世界的な傾向であり、 沖縄本島でも1996年から再び異常発生が始まっており、八重山も安閑としていられない状況にあります。1980年代前半をピークとした 前回のオニヒトデの大発生は、八重山中のサンゴ群集に壊滅的な被害を与えて収束しましたが、この経験から、オニヒトデの大集団を 駆除によってコントロールすることは不可能であり、一度異常発生したら、甚大な被害を被ることを覚悟しなければならない ことを学びました。
オニヒトデは年に1度、6月前後に産卵し、雌は数千万粒もの卵を海中に放出します。卵は海中で受精し、植物 プランクトンを餌として数週間浮遊生活した後、海底に下りて変態し稚ヒトデになります。着底して半年ほどは、石灰藻 (サンゴモ)と呼ばれるサンゴのような形をした海藻を食べ、1 cmほどの大きさになるとサンゴ食へ移行します。2〜3年で体長20cmほどになり、成熟します。
・稚ヒトデモニタリングによる大発生の予知具体的なオニヒトデ対策として、最も効果が期待されるのが、オニヒトデ発生の予知に基づいた大発生 の防止です。オニヒトデの異常発生は、ある海域に偶発的に出現した小集団(一次集団)が核となり、その子供を他の海域に広げて 被害を拡大させます。オニヒトデは2〜3年で成体となるので、一次集団をこの期間内に探知し、それを駆除することができれば 大発生を未然に防げることになります。従って、この成功の鍵は、こまめなサンゴ礁の監視と早急な対応にかかっています。 今回の勉強会で講師にお招きする横地洋之氏は、サンゴモ食期の稚ヒトデのモニタリングによって、オニヒトデの大発生を予知する手法を 提唱されています(横地,1998: みどりいし, (9))。稚ヒトデはサンゴモの表面に明瞭な円形の食べ跡を残します。稚ヒトデがサンゴ食に変わる直前の11〜12月頃は、1 cmほどに成長しているため食痕も大きくて見つけやすく、もし、この時期に大量の稚ヒトデが見つかれば、大発生の可能性が 高いということになります。 (事務局 野村恵一)
・稚オニヒトデモニタリング勉強会のお知らせ冒頭にも記しましたが、11月の第3週に表記勉強会を開催いたします。横地先生の仕事の都合 で、開催の数日前にしか詳しい日取りは決まりませんが、事前に参加者を募りたいと思います。参加希望の方は、 事務局までご連絡下さい。なお、申込者には日程が決まり次第、当方から連絡を差し上げます。
日程:第1日(夕方) 講義と懇親会
第2日(午前中) 現地勉強会(潜水)
場所:合同庁舎3F、石垣島大崎海岸(予定)
八重山サンゴ礁保全協議会の今年度の主要活動として、サンゴ礁の定点調査「マイポイント調査」を行うことに なりました。これは、なじみのある、もしくは思い入れのある海域に自分の調査点を定め、そこから会員個々が海域情報を定期的に 発信しあい、八重山全体のサンゴ礁を多くの目で監視することを意図しています。さて、第1回目の調査をこの夏に実施しましたので、 その概要を報告いたします。
・調査方法
ある海域に調査範囲を定め、半年に1度以上の割合でそこに生息するサンゴの生育型(大まかな組成)やサンゴ被度
(海底面に対する生きたサンゴの投影面積の割合)、オニヒトデの数と大きさ、サンゴ礁の異変などを記録します。
今回は本年6〜9月までの資料を集計しました。
・調査環境
図1に調査地点とその番号及び担当者名を示します。20名の方が40地点(仲ノ御神島1、西表島13、鳩間島2、
小浜島3、石垣島15、黒島8)においてマイポイントを設定して下さり、今回は番号7と15を除く地点で調査が実施されました。
各地点の地形は礁原や離礁の上部から下部、礁池と変化に富み、調査水深も1〜26mと幅広く取られました。調査範囲は最小
が3m四方、最大は80m四方で、最も多かったのが50m四方(10地点)でした。各地点の観察経験年数は0.5〜20年と様々でしたが、
10年以上ベテランが7割近くを占めました。
・結果
各地点のサンゴ被度と生育型を図2に示します。被度が10%以下の地点が9(24%)、20〜40%が8
(21%)、50〜70%が11(29%)、80%以上が10(26%)で、各被度帯ともほぼ同じ割合を示しました。生育型では、
枝状ミドリイシ類が優占する地点が6(16%)、卓状ミドリイシ類が優占するのが4地点(11%)、枝状・卓状ミドリイシ類
混成群が優占するのが8地点(21%)、ミドリイシ類以外のサンゴが優占するのが8地点(21%)、特定種が優占しない
多種混成域が12地点(32%)でした。オニヒトデが発見されたのは5地点で、どの地点も出現は1個体のみでした。
本調査以外では、5〜7月にかけて船浮湾赤ポール、バラス東、ヒナイ館前で1〜2個体が観察されました(坂内直純・亜加稔さん
調査)。これらの出現状況から、現在オニヒトデは八重山海域全体で、極めて低い分布密度を保っていると見なされます。
昨夏は異常な高水温によりサンゴに多大な被害が生じましたが、今夏は白化の情報は全く寄せられませ んでした。ただし、本調査以外では、9月11日の時点で波照間島でミドリイシ類、バラス島でコモンサンゴ類の若干の白化が、 野口定松氏により観察されています。その他、本調査で寄せられた情報を抜粋して以下に記します。昨年の台風で ユビエダハマサンゴ群体倒壊(仲の御神島)。ミドリイシ類徐々に戻る、アンカーによる若干のサンゴ破壊(8月:鹿ノ川)。 ハマサンゴ健在、ペンションからの排水懸念(星砂の浜)。放棄アンカーロープ散見(御神崎)。卓ミド良好 (川平石崎)。オニヒトデ懸念(川平水路)。遊泳者の人的被害若干、餌付けによる魚の異常行動、海水の汚濁度高まる(白保)。 赤土によりずっと汚れている、ガラモ類繁茂(宮良湾)。20mを越える深所に繊細な枝状ミドリイシ類のベッド発見(黒島北西沖ノ根)。 シロレイシガイダマシ被害散見(黒島港前と西ノ浜前)。
・八重山のサンゴ礁の現状
この初回調査で、各地点の景観が最も美しかった時期をお伺いしたところ、現在と答えられたのが8人
(24%)、昨年の白化直前が10人(30%)、数年前が4人(12%)、10年以上前が11人(33%)でした(図3)。地点別に見ると、
「現在美しい」はバラス南、鳩間東礁内、ヨナラ水道、白保アオサンゴ及び黒島の離礁群で、これらの地点は多くが潮通しの良い離礁域に
あるため、オニヒトデの食害からの回復が早く、しかも昨夏の白化の影響が少なかったためと推察されます。また、白保のアオサンゴは
オニヒトデも好まず、また、白化にも強いため昔の状態をとどめているものと思われます。次に「昨年までの方が美しかった」は、
崎山、星砂ノ浜、中野沖、バラス西、御神崎、米原礁池、浦底湾、伊原間、玉取崎及び、黒島アナドマリで、これらの地点は内湾や
礁池などの閉鎖的な環境にあるため、昨夏の高水温の影響を受けやすかったものと思われます。また、網取湾や黒島のキャングチ
海中公園地区などは、オニヒトデの食害から回復しつつあった矢先に昨夏の白化によって景観が再び荒廃してしまいました。
続いて「数年前までの方が美しかった」は、仲の御神島、鹿ノ川、崎山アザミサンゴ及びバラス北で、これらのうちアザミサンゴを除いて、
数年前の台風により被害を受けました。また、崎山のアザミサンゴ群体は世界でも最大クラスとして崎山湾自然環境保全地域の目玉で
ありましたが、数年前から徐々に死に始めていたところへ、昨夏の白化によって決定的なダメージを受け、生残部はわずか5%程度
とのことです。最後に「10年以上前の方が美しかった」は、網取湾、バラス東、川平水道、米原プカピー、宮良湾、黒島礁池及び仲本前で、
これらの内、網取湾と黒島キャングチについては前述しました。バラス東はアンカーなどの人為被害、宮良湾は赤土による汚染、
残りはオニヒトデ以降の台風や白化によって回復が遅れているようです。
八重山のサンゴ礁の現状を総体的に見ると、多くは以前よりも悪い状態にあると言えます。 これは、今回の調査が、昨夏の白化現象の大きなダメージの直後ですので、致し方ない結果でしょう。今後、 本初回調査をスタート台にして、八重山のサンゴ礁を見守り続けて行きたいと思います。「サンゴは順調に回復するか、 オニヒトデの大発生の兆しは現れるか、サンゴを脅かす異変が生じないか」など、海の中の変化がこれからの観察で 分かっていくことでしょう。末尾になりますが、今回の調査にご協力いただいた会員の皆様に感謝を申し上げます。 今後ともマイポイント調査継続のために、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。 (事務局 野村恵一)
このコーナーは会員皆さんの情報発信の場としてもうけました。出したい情報、ほしい情報、日頃思っているこ と、なんでも結構です。「会員だよりにのせてほしい!」と事務局までFAXまたは郵送で送って下さい。
・「現場に応じた温熱治療の奨励」(ダイビングサービス くろしま 小倉 完治)
私はかねてより、クラゲやオニヒトデ、毒魚の一部のなどの刺毒被害に対して、蒸しタオルによる初期 処置法の有効性を唱えています。これは、ポットから湯を注いで50℃ほどの「蒸しタオル」にし、被害に応じて5〜30分ほど タオルをこまめに交換しながら患部にあてることによって、毒による腫れや痛みなどの症状や後遺症を軽減させる方法です。 そして、被害を受けて3時間以内に対処できればその効果は大きく期待できます。もし、現場でこのような用意ができない場合は、 船上ならばエンジンや排気ダクトの熱、海岸ならば日光で熱せられた護岸のコンクリートなどの利用をお奨めします。 ただし、エンジンの場合はタオルをあてがい、くれぐれも火傷に注意されて下さい。温熱処置法を普及させるため、対処例を集めています。 これを経験された方は、どうか私か事務局までご連絡下さい。
・「この夏のことなど・・・」(黒島ダイビングパーク 小野寺 宏普)
初めに、私は魚の餌付けが大嫌いである。理由は色々あるが、最たるモノは、野生生物が人間に
餌を求める姿が、節操なく思えるからである。その上で、ご賛同いただける方のみ以下の文章を御覧ください。
この夏、天候も良く、ほぼ毎日のようにお客様が訪れシュノーケリングを行っていた。そんなある日、「魚に
噛まれた」とおっしゃる人がいた。話を聞いてみるとムラサメモンガラのようだ。餌と指との見分けがつかなかったらしい。
数日後、お客様からシュノーケリング中に餌付けをしたい旨、申し出があった。事情を話し(ダイビング協会の申し合わせ等)、
ご納得頂いたが、なんと!離島情報誌に、餌をもって海にいくと面白い等々書かれた記事を見せて下さった。
私はこれではいかんぞと思いながら一方、これまでその記事に気がつかなかった自分の愚かさを呪いたいような気がし
た。遅ればせながらダイビング協会を通じて、来年からこんな記事は載せないでもらうよう、
抗議してみるか・・・とまで思ったのである。
確かに、魚を餌付けしてそれを楽しむのも一方法であるだろう。しかしそれを行っている人のマナーまでは、
何ともし難いものがある。そのためには、我々現場の者が、お客様の啓蒙をし、現状をより良くしなければならない。
今後もモニタリングを続け、会員各位と情報交換しながら、次は情報発信、次は行動と、徐々に活動を広げたいと思う。
手始めに黒島の海を見ながら
・「生態系多様性地域調査報告書刊行」(環境庁 高橋 博幸)
生態系多様性地域調査は、すぐれた生態系が維持されている地域についてその生態系の実態を把握し、 生物の多様性の保全に資することを目的とした調査です。西表国立公園では、平成10年度に崎山湾自然環境保全地域調査と 西表国立公園海中公園地区調査が実施されました。両調査報告書とも、サンゴ類の海洋生物相の現況や環境保全の課題が報告され、 今後環境保全をしていくための施策として貴重な資料になると思われます。報告書は販売していませんが閲覧したい方は 西表国立公園管理官事務所まで問い合わせ下さい。
・「皆 さん今シーズンはいかがでしたか」(ダイブサイト ノグチ 野口 定松)
私は昨年の白化現象の事が少し気になってサンゴのことを観察してきました。影響の大きかったとこ ろ、全く影響の無かったところと様々でした。9月に入って数カ所で白化の兆しが見られたときは少し心配しましたが、 それ以上進行することもなく無事秋を向かえることができホッとしています。今年はいつもよりサンゴの事が気になった一年でした。
・「石やんのひとりごと」(ダイビングスクールプレコ 石田ひろみ)
毎年この時期になると西表の風物詩のミジュン釣りが始まる。ミジュンはイワシの仲間で大群となって 港の中に現れ、それを青スジ立てて島のおじさんやおばさんがオキアミをガンガン撒いて一日中釣りをする。 毎日毎日、来る日も来る日もみんなで釣りまくるので、クジラを思わす程の大きさの群も日に日に小さくなり、 しまいには消滅してしまう。毎年それを見る度に、生態系うんぬんかんぬんを考えるんやけど、趣味でする釣りとちごて、 生活に密着しているわけやから、それはそれで立派に人間も生態系の一部と、納得したりして_。 僕はそれよりも、キャッチ&リリース とか言うて、魚を傷つけるだけ傷つけて、逃がすという一見紳士的みたいに見せかけた残酷なルアーフィッシングの方が よっぽど悪いとおもうけど、どっちの釣り人も港を汚さないようにするマナーだけはまもってほしいもんや。
平
成10年(1998)12月19日
・サンゴ食生物の生息 状況:今回は120にものぼる多数の地点より情報が得られましたが、 オニヒトデはその内の3地点からしか観察されませんでした。1 潜水当たりの個体数も1個体のみで、八重山海域におけるでオニヒトデの生息密度は、夏季同様に極めて低い状態にあります。 これは、サンゴの回復にとってはうれしいことですが、サンゴ食巻き貝であるシロレイシガイダマシ類の集団が石垣島を中心に 5地点で観察されています。白化でサンゴが減少した現時点では要注意の生物です。この貝 類は枝状のサンゴの茂みに隠れるため、オニヒトデよりも駆除が困難です。
・サンゴの生息状況及 び白化によるサンゴの被害状況: 今夏の白化によるサンゴ被害は、これまで報道されているように、ほぼ八重山海域全域に及ぶ重大なものであることが改 めて分かりました。 沿岸に生息するサンゴで高水温の影響が及ばなかったものはないでしょう。死滅に至ったサンゴも多く、多数の地点でサンゴの生育度が 悪化しました。
サンゴの白化は直接的には高水温によるものです。今 夏は小笠原高気圧の 中心が通常よりも西にシフトして沖縄上空で安定し、8月ほぼ1ヶ月にわたって晴天が続き、風も吹かず、雨も降らず、 平たく言えば八重山沿岸の海水は「煮えて」しまいました。特にこの時期に台風の来襲がなかったことが大きく影響しました。 台風は風雨や波による海水の攪拌によって、海水温を大きく低下させる働きがあるからです。我々からみれば台風は災害をもたらす元凶で すが、一方では雨を降らせ、環境を制御する重要な作用を持っていたのです。
以前にもご説明しましたが、サンゴの白化は暑くても寒くても起きる一時的な季節現象で、 水温が適温に戻ればサンゴは回復するものです。しかし、度が過ぎたり異常な水温が長く続くと、サンゴは死に至ることがあります。 そして、今夏の高水温は度が過ぎ、しかも長期にわたってしまいました。異常な水温に対する耐性力はサンゴのグループや種によって異なり、 ミドリイシ類やトゲサンゴは特に弱く、アオサンゴやハマサンゴ類は特に強いようです。ミドリイシ類は海中の景観を作る最も重要な グループで、この死滅はサンゴ景観を大きく損ないます。各調査地点でサンゴの生育度が悪化したのも、ミドリイシ類が減少したことに 起因します。一方、白保のように、景観がアオサンゴやハマサンゴ類主体の地点は、高水温による被害は軽微でした。 また、ミドリイシ類の白化による死滅は場所によって大きく異なりまし た。白化被害は石垣 島周辺や嘉弥間島周辺、黒島の礁池内、鳩間島周辺、それに西表島網取湾周辺に集中し、離礁(竹富ー黒島間、新城沖など)やリーフ外縁、 水道部(ヨナラや竹富タキドングチ)では比較的軽度でした。このことから、 リーフで囲われた礁池や内湾などの閉鎖水域で被害が大きく、潮通しの良い水域では小さいという傾向が読み取れます。 どうやら、「潮通しの良し悪し」がミドリイシ類の生死に大きく左右したといえます。・八重山のサンゴの行 方:調査結果を見て悲観された方も多いかと思います。「オニヒトデの食 害後、 やっと回復したのに、また逆戻りだ」と。また、この情報を入手したマスコミの方々は、「八重山の海・壊滅的な被害」と センセーショナルに報道するかもしれません。そうなると観光的なイメージもずいぶんと損なわれることでしょう。そこで、 八重山のサンゴは悲観的状況であるのかどうか、推察してみました。
八重山サンゴ礁保全協議会 幹事会 開催報告
11月19日に八重山サンゴ礁保全協議会の平成10 年度第1 回監事会が開催されました。 この会において、下半期における活動計画が討議されました。その主な内容は以下のとおり。