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沖縄県よりの回答「石垣島の赤土流出汚染とその防止対策への提言」について

☆2003年12月15日 赤土流出汚染の新たな影響、オニヒトデ大発生の危機
石西礁湖オニヒトデ侵入口2003/12/15
オニヒトデ侵入海域同定と大発生数年前の初期状況↑ クリックで拡大

  <参考資料>
AIM(Australian Institute of Marine Science)
CROWN-OF-THORNS STARFISH QUESTIONS AND ANSWERS
Dr. Peter Moran  Last updated - 12 December 1997
38.an crown-of-thorns starfish be controlled?
オーストラリア海洋科学研究所
オニヒトデQ&A
Dr. Peter Moran 最終更新ー1997年12月12日
38.オニヒトデはコン トロール出来るか?

 過去15年間にインドー太平洋海域で約1500万匹のオニ ヒトデが駆除された。駆除プログラム最大のものは日本の琉球列島で試みられ(約1300万匹/八重山海域、約163万匹)、集中的な努力 (駆除費用、約6億円)にもかかわらず、日本の駆除プログラムはオニヒトデ根絶とサンゴ礁保全に失敗したために貴重である。
 インドー太平洋海域の大半のプログラムは日本の失敗を参考にしている。小さいエリア(1ha未満)での規則的な間隔での駆除が目的を 達成した。このアプローチさえも必ずしも成功するとは限らず、グリーン島(1960年代)での努力は、2年間約44,000匹のオニヒトデ駆除 にもかかわらずサンゴ礁を保存することができなかった。              
※前半部分の抜粋翻訳
☆2003年6月12日 沖縄県よりの回答 「石垣島の赤土流出汚染とその防止対策への提言」について
提言1
 3年間にわたる市民赤土調査(SPSS測定法)結果と八重山福祉保健所の過去4年 (1998,1991,1999,2001) にわたる調査データとの比較により、1998年度以来汚染度の高いポイントが一致し、そのポイントが農林水産省構造改善事業・ 土地改良事業区域に隣接する河川が流れ込む海域であることから、県は地域住民への説明責任を率先して実行すべきです。
回答1(所管:農林水産部農地水利課)
 本県における赤土流出は、これまでの各種振興施策を実施する中で、色々な要因で生じた問題でありま す。例えば、全体的なものとしては、過去の社会背景が行政を含め環境に対する熟度が低かったこと、 事業に おける目的重視が強かったこと、対策技術が十分でなかったこと等があげられます。また、個別的には土地改良事業の場合、 上記に加えて農家負担金の問題、換地処分における減歩率の問題等があげられます。それから、流出防止 対策ではその時点時点での努力はあったものの結果として対策が十分でなかったため、 その積み重ねで問題が更に大きくなったものと思われます。
 平成7年度(1995)には「沖縄県赤土等流出防止条例」が制定され、土地改良事業においても「実施基準」や業者向けの「手引き」等で 周知徹底を行った結果、工事期間中における赤土流出防止はかなり改善されてきております。平成13年度(2001)の環境保全課の調査結果 では、公共工事からの流出は条例施工前の平成8年度に比べ45%に軽減されていると公表されています。
 しかし、農地からの赤土流出防止対策は十分と言えない状況にあります。平成13年度の上記調査報告では公共工事からの流出が 減った結果、原因の約7割は農地からの流出とされています。
 今後は、このような現状を踏まえ如何に効果的な対策を実施して行くかが重要であることから整備事業のハード面、営農のソフト面 及び地域における推進体制整備等総合的な対策が必要となってきています。
 石垣島では平成14年度に「轟川流域農地赤土対策推進検討委員会」を設置し、その中でモデル方針として整備する「流域環境保全 農業確立体制整備モデル事業」を実施しております。この事業は行政と地域が一体となって具体的な対策を検討して対策に取り組む新しい 形の推進事業であり、今後の成果が期待されるところであります。
 県は今後とも本事業を積極的に推進すると共に、その成果を踏まえて当該地域における対策を実施し、提言の趣旨に応えていきたいと 思います。
提言2
 石垣島の赤土汚染の被害と漁業への影響を調査すべきである。 土地改良事業以前と以後の礁池(イノー)内の生きたサンゴ面積変化の調査と結果の公表を行うべきです。
回答2(所管:文化環境部環境保全課)
 文化環境部では、平成7年度(1995)より県内の12海域35地点において、赤土等汚染海域定点測定調査を実施しており、 石垣島においては、白保海域3地点、宮良川河口域1地点に定点を設定し、サンゴの種類、被度等の調査を実施しています。 調査結果については、毎年報告書を作成し、その概要は環境白書等で公表をしています。
 しかし、石垣島における土地改良事業は、およそ30年前から実施されており、それ以前 における当該地点にの資料がないことから、変化等を比較することはできません。
 文化環境部としては、今後も同測定調査を継続して実施し、石垣島における赤土流出防止対策に役立てたいと考えています。
提言3
 赤土汚染は、土地改良事業区域に隣接した河川に最も顕著です。 土地改良事業工事基準のすみやかな見直しを検討してください。
回答3(所管:農林水産部農地水利課)
 土地改良事業は、昭和47年(1972)の本土復帰後の沖縄振興開発計画に基づく事業実施で飛躍的に伸びてきました。その頃は、 不整形団地、農道、排水路を整備するとともに、山林部と既耕地を合わせて改良山成工による農地造成を行い、農用地の高度利用と集団 化を図り大型機械化営農方式導入による労働生産性を向上させ農業所得の向上を目的に進めてきました。
 昭和50年代(1975~)は、赤土汚染が社会問題化してきたことに伴い、各現場で創意工夫しなが ら 赤土流出防止対策を実施してきましたが、個別条件の差や農家負担金軽減、換地処分における減歩率の問題等もあり、全体として統一した 対策ではありませんでした。
 そのような背景から、平成元年度に全県的に統一した「土砂流出防止対策実施基準(一次試案)」と施工業者 が遵守すべきことを記載した「土砂流出防止の手引き」を策定しました。しかし、一次試案では赤い溶液となった濁水まではくい止める ことが出来ない状況であったので、2年後の平成3年度(1991)にさらに対策を強化すべく一次試案を見直し、工事期間中は原則として濁水も 流さないように仮設沈砂池の容量を大幅に変更した「土砂流出防止対策実施基準(二次試案)」を策定しました。このときに定めた 仮設沈砂池の容量(1ha当たり1500m3)が、沖縄県赤土等流出防止条例にも活かされています。
 以来、この二次試案に基づいて工事を進めてきましたが、平成7年(1995)10月に施行された「沖縄県赤土等流出防止条例」と整合性を 図るために2次試案を修正し、新たに「赤土等流出防止対策設計指針」を策定し実施して来ました。
 条例施行以来、各福祉保健所の協力も得て「赤土等流出防止対策設計指針」並びに「土砂流出防止手引き」が各現場で周知徹底された こともあり、工事期間中における赤土流出防止はかなり改善されてきています。
 しかしながら、工事が完了し農地を農家に帰した後の農地からの赤土流出防止対策は十分と言えない状況にあります。 新しい基準後は工事完了後の農地には畦畔 畔やグーリンベルト等を設置していますが、農家によっては営農上邪魔になるといって撤去して しまったり、少々破損しても補修しなかったりと工事完了後の対策が現在の重要な課題となっています。このため、今後はハード面、 ソフト面等での総合的な対策が必要となっています。
 現在、石垣市轟川流域で「流域環境保全農業確立体制整備モデル事業」として、事業のハード面、営農のソフト面、地域体制面の 総合的な取り組みを進めていますので、その調査結果を踏まえて、今後の工事基準の見直しを検討して行きたいと思います。
提言4
 赤土流出汚染は、年間数度は必ずある東アジアモンスーン気候帯がもたらす熱帯型豪雨を配慮し なかった 土地改良事業に付随する、舗装道路面積の増大と機能しない排水路施設のため、丘陵地形による雨水の濁流が道路を 河川変わりにして農地に流れ込む状況を生みだしている。舗装道路面積から流入量を計測し道路排水施設を改善して下さい。
回答4(所管:農林水産部農地水利課)
 土地改良事業における排水計画については、適正な洪水到達時間と流出率を求めるために昭和57年(1982)度から平成2年度(1990) までの9年間、11カ所で降雨量と流出量を実測してきました。調査地点は、今帰仁村湧川、名護市屋我地、読谷村 座喜味、沖縄市池原、玉城村船越、石垣市栄・上原、上野村高山、竹富町波照間、与那城村宮城・伊計であります。
 その9年間の実測データに基づき、流域面積、降雨強度、洪水到達時間及びピーク流出率の関係を解析 し、計画洪水量を算定する式を導き出しています。この算定式は土砂流出防止対策実施基準(二次試案:平成3年度/1991制定)から 採用されており、現在の「赤土等流出防止対策設計指針」にも引き継がれております。
 ちなみに、それ以前は一時間降雨強度を基準として計画洪水量を算定していましたが、新しい算定式で は、到達時間が短い小さい流域では設計の降雨強度が大きく見直されています。このため、10ha前後 の流域では計画洪水量は従来の約2倍の量となり排水路断面がかなり大きくなっています。
 平成4年度(1992)以降採択の地区は新しい排水計画に基づき実施されています。
 それ以前に施工された地区については、平成5年度(1993)からスタートした水質保全対策事業(耕土流出防止型)の計画の中で、 排水断面のチェックを行い必要に応じて改修整備を行っているところであり、今後とも同事業の推進を図り、適正な道路排水施設の整 備に努めてまいります。
提言5
 現在まで沖縄県で行われた石垣島の赤土流出防止対策関 連予算による結果報告と予算額を全て公開して下さい。
回答5(所管:農林水産部農地水利課・畜産課・林務課)
 石垣島に係る農地からの流出を防止する目的で土地改良事業で実施している赤土流出防止対策関連予算としては、事業の目的が 直接その対策となっている水質保全対策事業(耕土流出防止型)で、平成5年度〜平成13年度(1993-2001)までに7億5,562万円、 施設の管理を行う土砂等流出防止管理事業で平成6年度〜13年度(1994-2001)までに2,780万円となっています。
 この他、農業生産基盤整備事業・草地開発整備事業・林道事業等の基盤整備事業では工事費の約10%〜20%が その対策費に当てられています。
 これらの取り組みにより、工事中及び工事後の流出が抑制されてきています。また、農地からの流出も水 質保全対策事業の進展に伴い徐々に効果が発現するものと期待されています。
しかし、今後は発生源対策が特に重要であり、その効果的な対策を行うには上記のハード整備に加えて営農における畑面植生、裸地面の マルチング等環境保全型農業の推進が肝要であります。県としては、今後とも石垣市や地域住民等と一層の連携を図り、その対策を強化 していきたいと思います。
提言6
 環境省予算沖縄県委託「農地からの赤土等流出防止対策推進 現地検討会」は、沖縄県農林水産部営農推進課による現地意見を取り入れようとしない予算消化型事業となっています。 石垣島の実情を知らないコンサルタントの決定や現地意見に対する対応は目にあまる内容です。最初からやり直して下さい。
回答6(所管:農林水産部営農推進課)
 環境省からの委託により沖縄県が実施している流域環境保全農業確立体制整備モデル事業は、地域が一体 となった継続的な農地からの赤土対策推進の体制構築となっています。沖縄県としても、モデル地区として地域の産業や環境保全等の 関係機関で構成される轟川流域農地赤土推進検討委員会を立ち上げ、これまで以上に地域と一体になって取り組んでおります。
 コンサルタントの決定についても、これまでの実績等を考慮して、指名競争入札によって決定していま す。コンサルタントに対しては、地域の意見を取り入れたよりよい成果が得れるよう協議してまいりました。
 また、これまでの検討会等でだされた諸課題については、幹事会・分科会等において関係機関の協力を得 て、きめ細かな対応を図り問題解決に努めてまいります。
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