八重山毎日新聞
1999年 2月 6日(土)

「市独自の対策条例が必要」

吹通川の赤土汚染問題

総務財政委が現地視察

石垣市議会


 吹通川の赤土汚染問題で、石垣市議会の総務財政委員会(大浜哲夫委員長)は5日、現地視察を行った。上流域で赤土があふれ出た沈砂池や河川近くまで開発 が及んでいる農地をみた。大浜委員長は「行政は指導を徹底しないといけない」と市の取り組みを求めたほか、「議員が問題意識を持って(赤土流出防止対策に ついて)提言していかなくてはならない」と積極的に取り組んでいく姿勢を示した。また、委員会としては「赤土防止決議をする方法もある」と述べ、別の委員 も「石垣市独自の赤土流出防止対策条例を制定すべき」と提案。今後の議会活動で、視察した議員がこの問題にどう取り組んでいくのか注目される。

 当局の積極的対応を求める
 現地視察には環境保護課、市教委文化課職員などが同行。環境保護課の説明によると、農業生産法人が造成した農地は全体で26ヘクタール。沈砂池は設けら れているが、昨年10月と12月には大規模な赤土流出がみられた。沈砂池が決壊したり、容量が小さくて赤土があふれ出た。
 生産法人は先月28日、県環境保全室に流出防止の対応策を提出。県の指導を受けて対策を講じることになるという。
 松川秀盛氏は「市の行政にも責任がある。農地開発すれば赤土流出は想定されるが、環境問題に関して行政が機能していない」と指摘し、赤土流出防止で市の 積極的な取り組みを求めた。
 吹通川上流域では河川ぎりぎりまで農地が造成されており、赤土流出で天然記念物への影響がないか調査した文化課は「開発が進めば、赤土流出は避けられな い。早急に赤土流出対策をしないと、ヒルギが大変なことになる」と指摘した。


野底御嶽の市有地

御嶽周辺は売却せず

石垣市 範囲は財産委で検討


 石垣市がリゾート開発会社に売却を検討していた野底地区の市有地の一部が野底御嶽の敷地になっている問題で、石垣市は公有財産検討委 員会(委員長・大浜永造助役)で最終的な結論を出すことにしているが、先月30日の本紙の報道を受けて大浜長照市長が関係各課に「売却しない」方針を伝え ており、事実上売却されないことがほぼ確実となった。

 宮良の松原さん「オンは心の支え」
 御嶽の近くには井戸もあることから、市は御嶽周辺を売却しない方針だが、その範囲については財産委で検討していくことになりそうだ。野底御嶽を信仰の対 象にしていた野底村(1905年廃村)の子孫で御嶽を「心のよりどころ」にしている松原秀吉さん(67)=石垣市宮良=は「御嶽だけを残すとなると、周り の密林がなくなって神々しさがなくなる」と話している。
 市教委文化課によると、野底御嶽は1732年に黒島から強制移住させられた人たちが野底村を創建したころにできたもの。創建年代は不明だが、1905年 の廃村まで信仰されたと考えられる。廃村になってからは信仰も絶えたという。
 松原さんが毎年拝むようになったのは、三十数年前から。家族の1人が病気にかかり回復の見込みがなかったとき、祖先で信仰していた野底御嶽で拝んだとこ ろ「偶然かもしれないが、回復した」という。
 それから年に1、2度は拝むようになり、今では心の支えになっている。松原さんは「野底村の跡を示すのはこの御嶽だけ。祖先の亀甲墓もなくなり、野底村 の跡は何も残っていない。文化財には指定されていないが、石垣市の文化遺産として末代まで残してほしい」と話している。


リゾート開発にからみ、石垣市が売却を検討していた市有地に野底御嶽が あるが、市は売却しない方針だ。祖先の信仰の対象が売られそうになったことを危ぐしていた野底村(1905年廃村)の子孫、松原秀吉さんは「売られないと 聞いて最高の喜び」と安どした。野底村の跡を残すのはこの御嶽だけとなっており、御嶽は松原さんたちの心のよりどころ。「野底村の末えいは私だけでなく、 文化遺産として末代まで残してほしい」「御嶽はうっそうとした密林にあるから神々しい」と幅広い範囲での保存を望んでいる。