「農地
対策に強い指導力を」
〜赤土問題国際フォーラム〜
発生源対策で活発に意見交換
「環境税」創設の強い要望も
赤土問題について話し合う財団法人日本生態系協会の国際フォーラム「美(ちゅ)ら海の再生 美ら島の発展」が5日、石垣市民会館中ホールで開かれ、内外
の専門家や地元農家や環境NGOらの討論があった。
フォーラムを総括した池田駿介東工大大学院教授は、陸と海をリンクさせた対策に留意するよう求め、「有効な赤土対策の組み合わせが十分に吟味されていな
い。発生源対策が不十分」などと指摘した。討論では、石垣市の赤土対策の遅れを指摘する意見や、有効な赤土対策を行うことが経済的なメリットになることを
示す努力を求める意見もあった。
フォーラムは午前10時に始まり、池田教授の基調講演や赤土対策に関連した県内と海外の事例発表があった。
午後は討論があり、池田教授の司会で、石垣島赤土監視ネットワークの佐伯信雄会長や地元農家の多宇元氏、海外や国内外の専門家、県や市の担当者らが意見
交換した。
このなかで、石垣市の高木健企画開発部長は、農家から赤土対策への理解と協力を得ることが難しいことや、環境保全の財源に充てる「環境税」(仮称)を
「時期尚早」と判断していることを説明した。
これについて、池田教授は「農家の協力や、環境税の取り組みなどで施策の立ち後れが目立つ。手遅れにならないか」と危機感を示した。
環境税については、海外の専門家が「サンゴ資源を守るためにであれば、環境税を払うことはやぶさかではないと観光客は言っている」、「利用者は(一定額
を支払うことにより)環境にやさしい行動を取るようになるだろう」と肯定的な意見を述べた。
赤土対策に対する農家の理解・協力については、県文化環境部の上原隆廣赤土対策監が「行政的にも農地対策を方向付けていくべきだ」と述べ、地元の石垣市
側が今までより強い指導力を発揮すべきだとの考えを示した。
県の宮尾博一技監はフロアから発言し、「沖縄の海を守ることは日本の貴重な自然を守ることであり、国の仕事。石垣の人は、人任せではなく、自らの問題と
して取り組んでほしい」と要望した。
フロアからの発言では、グリーンベルトや耕地のこう配修正が期待通りの効果を発揮していないケースを示す意見が出た。
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内外の専門家や地元農家、環境NGOが赤土問題について討論
した財団法人日本生態系協会の国際フォーラム |
■五日に開かれた赤土問題の国際フォーラムでは、畑に育つ植物を燃やし
てエネルギーを取り出し、発電などに生かす方法が紹介された。畑を耕さずに済むことから、赤土が発生しにくくなる点からの提案だ。背景には、将来にわたっ
てキビが基幹作物の座を占めることができるか疑問という考え方もある。離島の農業生産とエネルギー確保、それに赤土対策による環境保全がリンクしており、
幅広い論議を呼びそうだ。
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