八重山毎日新聞
2003年10月 6日(月) 

石西礁湖で駆除作業実施

オニヒトデ依然増加傾向に

環境省サンゴ礁研究センター

 環境省国際サンゴ礁研究・モニタリングセンターは、近年、増加傾向にある 石西礁湖内のオニヒトデ問題で今月2日から5日にかけて石垣島 南の通称・カナラグチなど計3カ所で駆除作業を行ったところ、計482匹が駆除され、オニヒトデが引き続き増加していることが確認された。駆除作業を報告 した同センターの岡野隆宏海域生態管理官は「オニヒトデが増加している原因は不明だが、今後、モニタリング調査を継続していきたい」と話している。

 国際サンゴ礁研究・モニタリングセンターでは、サンゴ礁の生育に大きな被害をもたらすオニヒトデの増加問題について今年2月からモニ タリング調査と駆除作業を実施するとともに、連絡会議を開いて、対策などを協議している。
 石西礁湖の自然再生推進計画の一環として、8月に行ったモニタリング調査の結果、今年4月から5月にかけてカナラグチやユイサーグチ、竹富島南、マル グー周辺(竹富島黒島間)で合わせて551匹のオニヒトデを駆除したものの、依然として個体数が多い海域と未調査海域で新たに個体数が多い海域が確認され たことから、今月2日から2回目の駆除を実施した。
 作業には八重山漁協から延べ11人が参加。水深約5メートルまで潜り、石垣島南にあるカナラグチで2日と5日に計333匹駆除したのはじめ、3日はマル グーで100匹、4日はユイサーグチ48匹と、4日間で計482匹のオニヒトデを駆除した。
 オニヒトデは4年で約45センチ、一年で約10センチまで成長するという。
 同モニタリングセンターの岡野海域生態管理官は「オニヒトデは海底に定着して成長するほか、集団で移動する性質がある。小さい個体が見つかったことはオ ニヒトデの新たな侵入が考えられる。1〜2年後にはこれらのオニヒトデが成長し、サンゴに被害を与えるものと思う」と話した。
 オニヒトデは1980年代に異常繁殖し、サンゴに大きな打撃を与えたことがあるが、漁業者の話では90年後半からは大幅に減少。2000年ごろから再び 増加傾向にあることが環境省のモニタリング調査で明らかになっている。

4日間にわたる人海戦術で駆除されたサンゴの敵・オニヒトデ



石西礁湖のサンゴ礁を食害するオニヒトデが増加傾向にあるため、今月 2日から今年2回目の駆除作業が行われ、計4日間で482匹のオニヒトデが捕獲された。放っておくと、繁殖を繰り返し、サンゴを食い尽くという厄介な海の 生き物に駆除作業に協力した八重山漁協の組合員らは「サンゴをダメにするだけでなく、魚が集まる漁場も台無しにする」と漁民の敵・オニヒトデをアピールし ていた。