八重山毎日新聞
2002年11月 2日(土) 

赤土対策のモデル方針を策定

轟川流域の「検討委」が発足

3カ年継続事業がスタート

 轟川流域を対象に本年度から3カ年計画で導入された「流域環境保全農業確立体制整備モデル事業」の一環として、同事業内容の検討と行 政と地域が一体となった具体的な赤土流出防止対策の推進に向け、「轟川流域農地赤土対策推進検討委員会」が1日、行政や民間の関係機関・団体の代表13人 で発足。同日午前10時から八重山支庁大会議室で開いた設立総会・第1回検討委員会で同モデル事業の概要や実施方針、今後のスケジュールなどを確認した。

 同事業は、県が環境省からの委託を受け、本年度から3カ年計画で実施しているもの。
 流域全体を網羅したさまざまな赤土流出防止モデル対策や、農家・流域関係者一体となった持続可能な取り組み体制等の検討などを行い、県内の赤土対策モデ ル方針を策定する。
 同検討委員会は、去る9月12、13日に国、県や地元関係者が参加して行った現地検討会の場で、行政や関係団体、研究機関、地域住民などが一体となった 赤土流出防止対策を推進する同検討会の設立が提起され、今回の設立となった。
 委員会では今後、轟川流域の農地からの赤土流出防止対策を推進するため(1)モデル流域における赤土等流出状況調査内容の検討(2)モデル対策実証調査 内容の検討(3)営農対策と土木的対策の連携および地域活動による赤土などの流出防止のための赤土総合対策基本方針策定の検討−などを行う。
 モデル事業では、轟川流域45ヘクタールで、被覆植物(ピジョンピー)による裸地対策や10ヘクタールでパインアップル園の敷き草マルチなどを実施して おり、定点で流量と濁度、雨量の連続測定によるモニタリング調査を行うほか、GISデータとイコノス衛生写真を組み合わせた1筆ごとの現況把握を行い、未 実施ほ場との比較などを通してその効果を確認する。
 また、体験デモやモデル対策などを通して対策に必要な費用や時間、労力などを調べ、流域一体となった持続可能な対策を確立する。
 この日の検討委員会では、これらモデル事業の実施方針や内容などを確認したほか、年度内に3度計画されている委員会スケジュールとその検討内容を確認し た。
 また、赤土対策推進に当たっての意見交換では、参加者から「土地改良事業の検証をベースにしたソフト、ハード面の対策検討が必要」「こう配修正でも土木 事業をやれば必ず土が流れる。営農面の対策が大事」「赤土流出による環境汚染が漁獲量減少に大きな影響を及ぼしている。赤土流出の水産業への影響も調査す べきだ」などの意見が出された。
 また、国関係者からは、土地改良事業を検証し、問題があれば総合事務局や県と調整し、基準の見直しを行うとともに、モデル事業で出される課題について必 要ならば制度改正も視野に入れる考えが示された。

行政や民間の団体機関、団体の代表で設立された轟川流域農地赤土対策推進検討委員会