八重山毎日新聞
2002年 5月31日(金) 

「月桃」で赤土流出防止へ

石垣島周辺海域環境保全対策協

圃場のグリーンベルトに

効果は「本島視察」で確認

白保小石垣中 近く“第一弾”で植栽

 石垣島周辺海域環境保全対策協議会は30日に開いた定期総会で、本年度の事業として、農地からの赤土流出防止に効果があるとされる ゲットウ(月桃)の苗を3000本確保し、普及を図っていくことを決めた。6月には、その苗の一部400本余りを使って、白保小と石垣中の児童生徒が学校 近くの圃(ほ)場にゲットウを植える活動を行う計画だ。学校側ではこれまで「赤土問題は勉強してきたが、赤土流出を止める活動には取り組めずにいた」と悩 んでいただけに、ゲットウを植える活動が環境教育に役立てば−と期待している。

 同協議会は昨年9月、ゲットウのグリーンベルトによって赤土流出対策を行っている東、宜野座、金武の1町2村を視察し、3町村の担当 者から「相当効果が出ている」、「かなり赤土が抑えられている」などの説明を受けてきた。
 ゲットウについては、赤土流出防止効果だけでなく、ゲットウそのものを製品として販売すれば、農家の副収入になるのではないかという指摘もある。
 こうしたことから、今年2、3月には石垣市シルバー人材センターと東村からゲットウの苗を購入し、石垣市の苗圃で育ててきた。
 本年度の事業では、小中学生が参加してゲットウのグリーンベルトを設置していくほか、ゲットウを積極的に植えるよう農家に呼び掛けていく。
 来月5日には白保小学校の5、6年生合わせて38人が轟川河口の圃場沿い72メートルに、同12日には石垣中学校3年生277人が新川川周辺の圃場沿い 140メートルに、それぞれゲットウを植える。
 白保小学校では前年度、環境教育の一環で轟川の赤土調査を行うなど、身近な自然を考える授業を通じて、児童たちは赤土について問題意識を高めてきたが、 「赤土を止めるための活動ができずにいた」。このため、ゲットウを植える活動に取り組むことにした。
 石垣中学校は全校生徒776人が1度にゲットウを植える活動を行うことは難しい−と判断して、今回は3年生だけが行う。今後、協力してくれる農家が見付 かり次第、ほかの学年でも実施していく。同校では「中学生が頑張っている姿をみれば、農業関係者も頑張ろうという気持ちになってくれるのではないか」と期 待する。
 同協議会の総会では、国や関係機関に赤土対策を具体的に提言していくことや、赤土で汚れた海域の視察の実施なども決めた。新会長には、照屋寛伸・石垣市 自治公民館連絡協議会長を選んだ。

ゲットウを使って赤土流出防止を行っている圃場(石垣市新川)。石垣島周辺海域環境保 全対策協議会が普及に乗り出すことになった


キビ畑のそばに植えられた月桃が花を付けている景 色も、なかなかいいものである。赤土汚染の代表格といってもいい轟川と新川川の周辺でも、こんな畑の光景が見られるのだろうか。「赤土汚染の問題は勉強し てきたけれど、赤土汚染を止めるための活動へいけずにいた」という白保小学校と石垣中学校が、石垣島周辺海域環境保全対策協議会とともに、月桃を植える活 動を行うことになった。環境教育と赤土防止活動がドッキングした先には効果が期待できるのか、楽しみなところ。