新年度予算に緑肥作物
赤土対策で政府が回答
市長らの要請に農家協力も求める
【東京】大浜長照石垣市長は8日、都内で農林水産省と内閣府、環境省、県選出国会議員らに、赤土対策の総合対策事業の創設を要請し
た。内閣府の武田宗高・沖縄振興局長は「2002年度に、赤土について施策を講じていくことになると思う」と述べ、新年度に赤土対策の新しい事業を検討し
ていることを明らかにした。武田局長はまた「農家にお願いすることもある」とも述べ、赤土対策事業の実施では農家の協力が欠かせないとの認識を示した。
大浜市長は、新石垣空港計画を取り上げて、「カラ岳陸上案に反対している人たちは、自然環境の問題を真剣に考えており、行政のやるこ
とに関心を持っている」と、目に見える形での赤土対策を要請。
武田局長は「工法をよく考えないといけない。(新空港建設によって)赤土が出るようでは困る。地元の合意が進みつつあると聞いているので、赤土問題など
を手当てしながらやっていきたい」との考えを示した。
市側が求めている轟川河口での大型沈砂池の設置については「降雨時の水量や水の勢い、溜まった赤土を農地に還元する方法などを検討したが、難しい」とし
た。
農林水産省の西川孝一農産振興課長は「新年度に、緑肥作物のための予算を確保している」と述べ、緑肥作物によって裸地状態を解消する事業を検討していく
考えを示した。
この日の要請は、7日に県庁で比嘉茂政副知事に対して行ったのに続くもので、▽赤土流出防止対策事業計画の策定への支援▽農地の裸地状態解消や地力増進
に向けた財政支援▽水質保全対策事業の推進拡充▽大型沈砂池、たい積土除去などを行う新規事業の導入−の4点を要請した。
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赤土対策について内閣府の武田宗高・沖縄振興局長(左)に要請する大浜長照石垣市長
(その右) |
話し合いは平行線
カラ岳陸上案反対グループと市長ら
東 京
【東京】新石垣空港のカラ岳陸上案に反対する人たちと大浜長照市長らの話し合いが7日夜、都内で開かれ、市側から大浜市長ら5人、反
対する側からは八重山・白保の海を守る会の生島融事務局長ら14人が出席した。
話し合いは平行線をたどったが、反対する人たちからは「時間はかかるが、みんなの意見をよく聞いてしっかりやっていただくしかない」と要望があったほ
か、市側も話し合いの継続を求め、今後も意見交換を続けていくことで一致した。
このなかで、大浜市長が「自然保護に取り組みながら新空港を実現したい。カラ岳陸上案に自然に重大な影響を及ぼすことが分かれば、計画の変更・修正が
あってもいい」と理解を求めたのに対して、生島事務局長は「位置を決めるのに必要な情報がない段階で決めたのは大きな問題。選定委のなかにも、選定の前に
調査をするべきだという人がいた」と選定過程そのものに疑問を示した。
生島事務局長は、カラ岳陸上案が選ばれた選定委について「民主的ではなかった。WWFJの小林孝委員への説得は精神的な暴力だったのではないか」と指摘
し、大浜市長は「小林委員の意見は配慮した」と答えたが、生島事務局長らは「多数の圧力で決めた」と納得しなかった。
現空港の拡張を求める意見も相次ぎ、市側は「住民のコンセンサスが得られない。新空港ができるまで、現空港を拡張してはどうかという意見が出たら、周辺
公民館から反対意見が出た」と、拡張が難しい理由を説明した。
また、大浜市長が、安全性の向上や、天候や貨物重量に関連した運航制限の緩和などを挙げて、新空港の必要性を強調したのに対して、「説得力がない。新空
港が郡民の切実な願いだというが、その中身に本当に説得力があるのか。計画の熟度が低いから25年かかっても造れないのではないか」との疑問が出た。
「公共工事がないと大変なことになるから新空港がほしいというのが本音ではないか」との疑問には、大浜市長は「土建事業が新空港に期待しているのは確か
だが、そのために新空港を造るわけではない」と答えた。
絶滅危ぐ種1B類のコウモリに関する質問もあり、大浜市長は「新空港のために、コウモリが生息環境を移動することがあったとしても、やむを得ない」との
考えを示した。
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