八重山毎日新聞
2001年 6月27日(水) 

白保轟川河口周辺 サンゴが大量死

原因は赤土…26ヘクタールの広範囲で

WWFジャパンなど3機関 合同調査で確認

「ハマサンゴ被害、事態深刻」

 白保轟川河口周辺のサンゴが大量に死んでいる、との情報で20、21の両日、WWFジャパンサンゴ礁保全協議会、環境省国際サンゴ礁 研究モニタリングセンター、八重山サンゴ礁保全協議会の3機関による緊急調査が行われ、その結果、轟川河口を中心に南北約1.2キロメートルの範囲でサン ゴが大量に死んでいるのを確認した。全滅していた場所では、底質全体に2〜5センチの厚さで赤土が堆積しており、サンゴだけではなく海藻類もほとんど枯れ ていたという。原因は轟川からの流出物の影響である可能性が高いが、詳しくは不明。今後、水温や堆積物を分析して原因を究明、また現地のモニタリング調査 が行われる。

 サンゴの大量死は今月初旬、白保周辺の漁業者から情報が寄せられたといい、去る12日にサンゴ礁保護研究センターが白保第3ポール付 近で直径1メートルほどの塊状ハマサンゴが死亡しているのを確認、このため関係機関による緊急合同調査を実施した。
 被害地域はアオサンゴの大群落から1キロメートルほど離れたところで、直径1〜2メートルと直径10〜20センチの塊状ハマサンゴを中心に枝状コモンサ ンゴ、枝状ミドリイシなどが多種多様に混在、比較的サンゴ類の多い地域だったという。
 緊急調査の結果、轟川河口南にある第3ポール周辺で群体上部に大量の堆積物をかぶった塊状ハマサンゴが大量に死んでいた。被害範囲は同ポールを中心に南 北約1.2キロメートルにおよび、中心付近の約20ヘクタールで点在するハマサンゴ群落がほぼ全滅、周辺では死亡率80%の海域が約26ヘクタールあった −と報告している。
 全滅した場所では底質全体に2〜5センチの厚さで赤土が堆積していた。
 今回、被害が確認されたハマサンゴの中には直径1〜2メートルの大型のものが多く、約100年たっていると見られている貴重なサンゴ群集であり、比較的 強いハマサンゴがこれほど大量に死亡しているのは珍しいようだ。
 調査にあたったWWFジャパンサンゴ礁研究センターの小林孝氏は「恒常的な赤土汚染に耐えてきた轟川河口周辺の塊状ハマサンゴが、いよいよ耐えられなく なってきた。直径1〜2メートルのものがこれだけ生育しているのは相当希少であり、島の財産が壊れてしまったことは極めて残念」としながら、「死滅海域か らアオサンゴ群落まで1キロしか離れていない。サンゴ破壊の脅威が進んでおり、赤土汚染防止の具体的な対策を早急に取らないとならない。事態は深刻であ る」と訴えている。