八重山毎日新聞
2001年 6月16日(土) 

上空から赤土流出を視察

市議会経済民生委

宮良川などの河口域 黄土色に濁る

早急に防止策を

 石垣市議会経済民生委員会(辻野ヒロ子委員長、8人)は15日、島内の赤土流出などの現状を上空から視察した。この日までに降雨がほ とんどなかったため、見た目には赤土流出を確認できなかったが、赤土の最大流出源となっている宮良川、轟川、新川川などの河川域は堆積した赤土で黄土色に 濁っていた。参加した議員は「できることから早急に行動すべき」と述べるなど、改めて赤土流出防止対策の緊急性を確認したようだ。

 赤土流出問題は市議会でも関心が高いが、委員会が上空から視察するのは初めて。環境問題を担当する同委員会として早急な防止策などを 講じるための資料にしようと第11管区海上保安本部石垣航空基地(佐久間勲基地長)の協力を得て実施した。
 視察には辻野委員長ら6人が参加。2回に分けて最新鋭の「ビーチエアクラフト式300型」中型飛行機に乗り込み、佐久間基地長の説明を受けながら島内を 東回りに視察した。
 空から見ると、石垣島はリーフに囲まれ、リーフ内のイノー(礁池)はエメラルドグリーンの色に輝いているが、河口域になると赤みを帯びて濁っている。内 陸は濃い緑の山々と整地された畑地が広がっていた。
 辻野委員長は視察後、「土地改良で畑地が整然としているが、そのマイナス部分として赤土が流れており、青い海が汚染されているのは悲しい。国営事業の導 入の前に、できるものがあるのではないか。私たち一人ひとりが問題意識をもって行動する時期」と話した。
 搭乗前に佐久間基地長は今年4月17日に名蔵湾と宮良湾を上空から撮影した写真をみせた。2枚の写真は前日のわずか21ミリの降雨で周辺海域が赤く染 まっているのが確認できた。

石垣市議会経済民生委員会が15日、上空から赤土流出などの現状を視察した


12人が質問を通告

市議会定例会


 開会中の石垣市議会(小底嗣洋議長)は14日正午で一般質問通告を締め切った。質問者は12人。一般質問は18日から。
 主な質問内容は米軍による民間空港利用、公共事業、赤土流出防止など。大阪教育大付属池田小学校で起きた児童殺傷事件を受け、学校の安全管理などについ ても取り上げる。
 ▽大浜哲夫(1)市長の政治姿勢(小泉総理の憲法改正等の発言、米軍による民間空港の軍事利用)(2)消費者行政(消費者契約法の施行)(3)健康増進 行政について(ハンセン病に対する啓もう活動など)(4)情報通信(情報通信産業振興地域指定など)(5)福祉行政(公的介護保険の検証)
 ▽粟盛哲夫(1)公共工事と失業問題(2)各産業の振興策(3)農振の見直し(申請書類の進ちょく状況)(4)農村集落地域の活性化
 ▽辻野ヒロ子(1)教育問題(学校の危機管理と安全対策、八重山平和祈念館の活用など)(2)生活環境(ごみの有料化、赤土流出対策、放置車両の現状と 対策)(3)商店街の活性化(TM石垣)
 ▽富里八重子(1)大阪教育大付属池田小学校での児童殺傷事件(児童の安全確保や安全管理)(2)農林水産業の振興(後継者の人材育成など)(3)母子 寡婦の福祉(制度の効率的運営など)
 ▽亀谷善一(1)ポスト3次振計(沖縄振興法と本市の方向)(2)八重山地域経済の危機(行政の対応)(3)公共施設の移転(郵便局、消防庁舎、気象 台、警察署など)(4)近海汚染防止と国営事業導入の具体的な行政行為
 ▽大立致市(1)農産加工施設の導入(パインアップルの民間新加工場など)(2)家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律(支援措置につ いて)(3)赤土対策(条例の制定など)
 ▽宮良操(1)北部振興(生活バス路線問題など)(2)畜産行政(家畜の排せつ物条例施行への取り組みなど)(3)農業行政(熱帯果樹試験場の誘致) (4)市史行政(旧大浜町史の編さん)(5)財政(ペイオフ制度への対応)
 ▽仲間均(1)新石垣空港建設(2)ごみの有料化(条例制定方針、クリーンセンター及び最終処分場の随意契約など)(3)尖閣諸島問題(海上保安庁の巡 視船強化など)
 ▽伊良皆高信(1)環境行政(建設リサイクル法、食品リサイクル法、グリーン購入法)(2)市民行政(市税の徴収と取り組みなど)(3)農業行政(土地 改良事業のこう配の見直し状況など)
 ▽石垣三雄(1)ハンセン病訴訟の熊本地裁判決に対する所見(2)家電リサイクル法施行2カ月余の現状と課題(3)介護保険制度(1年後の到達点や課題 など)
 ▽前野尚史(1)平和(米軍の民間空港の強制使用、国境自治体としての対応)(2)地域経済(公共工事、プロ野球のキャンプ誘致)(3)環境(クリーン センター)(4)行財政改革(行政評価システムなど新システムの検討結果)
 ▽大石行英(1)国連アジア本部の誘致(2)保育行政(待機児童の実態と解決策など)

15日、小型飛行機で上空から赤土流出などの現状 を視察した石垣市議会経済民生委員会。議会として初めての取り組みで、赤土防止対策を講じるための資料にしようという試み。開会中の市議会6月定例会は 18日から一般質問が始まるが、視察した何人かは赤土問題を取り上げることになっており、今回の視察がどのような形で表れるのか。