八重山毎日新聞
2001年 3月 7日(水) 

赤土による濁りのサンゴ影響

10ppm以上で生息困難に

地区水産振興協議会

西海区支所が研究報告

 八重山地区水産振興協議会の2000年度試験研究成果報告会がこのほど八重山漁協会議室で行われた。この中で赤土がサンゴに与える影 響について、常に10ppm程度以上の赤土による濁りがあると、ある種のサンゴでは正常な生息が困難と考えられることがわかった。
 報告会では県水産試験場八重山支場、日本栽培漁業協会八重山事業場、西海区水産研究所石垣支所の研究員と漁業者が6テーマで発表した。
 赤土の影響については西海区石垣支所が「サンゴの赤土耐性〜濁りと光の関係からわかること〜」のテーマで報告。それによると、赤土が海洋生態系に与える 悪影響はたい積と遮光という2つの側面が考えられるという。高濃度だとサンゴは赤土のたい積によって急激な死を迎えることになるが、低濃度でも濁りによっ て光が遮られるため徐々にダメージを受けている。
 研究では、光の強さとサンゴの光合成の関係を調べた結果、水深3メートルに生息するサンゴを想定して赤土の濁りによる光に減衰を考慮して計算した場合、 「常に10ppm程度以上の濁りである種のサンゴでは正常な生活が困難になるものがあると考えられた」という。
 今回は光合成の側面からサンゴの赤土耐性を検討したが、これは赤土がサンゴに及ぼす影響の一側面にすぎず、今後も礁池内での赤土の移動を含めて多方面か ら検討する必要性が強調された。
 このほか報告会では一本釣りの漁業者が今後の課題として、台湾の漁船や遊漁船、県外船の操業を挙げた。また、「土日祝日となれば漁船より遊漁船の数が多 いという日も少なくない」と話し、釣り上げた魚が冷凍業者や鮮魚店に売買されるなどの情報が漁協に寄せられていると報告した。