依然続く赤土によるサンゴ被害
2000年モニタリング調査結果
寒波や海藻も影響
環境省の沖縄地区自然保護事務所は23日、石垣島や石西礁湖のサンゴ礁についてまとめた本年度のモニタリング調査報告書を公表した。
石垣島周辺では、野底石崎から浦底湾にかけての海域で赤土のたい積がやや多かった。報告書は、この海域が吹通川の河口に近く、「吹通川の流域では、公共工
事による大規模な山林の造成が行われている」などと指摘し、赤土汚染が公共工事によって引き起こされた可能性を示唆した。
調査は、石西礁湖とその周辺地域が1983年度にスタートし、現在の調査地点は125地点。石垣島周辺は98年度から行っており、現
在の調査地点は75地点。
報告書によると、石西礁湖では、竹富島北東沖やヨナラ水道、黒島北と西表島の間などでミドリイシ類の被度が50%を超え、高密度のサンゴ群落が観察され
た。東部を除いた西表島周辺海域では、鳩間島南部の2地点だけが被度50%を超えた。
石垣島周辺で被度50%以上なのは、平久保川北の1地点だけだった。
赤土汚染の影響では、小浜島周辺で、ほかの海域に比べてサンゴ礁の生育が不良で、回復の傾向もみられないことが分かり、報告書は「恒常的な赤土」がサン
ゴ礁の生態系を乱している可能性を指摘した。
この海域では海藻類が多いことも分かり、「ホンダワラ類を中心とする大型藻類が繁茂する地点では、サンゴ類の早期回復が阻害されている」とした。
調査では、99年12月下旬に起きた記録的な寒波により、ミドリイシ類を中心とした潮間帯のイシサンゴ群落が大量に死滅したことも確認した。黒島小浜間
の離礁、シモビシ海中公園地区、西表島東沖離礁、黒島北西沖離礁、小浜島南東沖離礁の5地点では、潮間帯上部のミドリイシ類が全滅していた。ミドリイシ類
の減少がみられた場所も13地点あった。
オニヒトデの発生は、石垣島周辺では全調査地点で確認されず、石西礁湖とその周辺では生息密度は低いため、大発生の兆候はみられなかった。
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