八重山毎日新聞
2000年12月19日(火) 

赤土流出防止対策 国に大規模な要請行動へ

12月市議会一般質問

公共工事の建設位置 庁議で吟味選定へ

漁協の再建 信用事業の譲渡が条件

 石垣市議会(小底嗣洋議長)の12月定例会は18日から一般質問に入り、初日は大浜哲夫、辻野ヒロ子、知念辰憲、宇根底智生、大立致 市の5氏が当局の見解をただした。のり面の一部が崩壊し、位置選定のあり方が問われた野底浄水場問題で大浜長照市長は「公共工事の位置選定については庁議 で取り組んでいく」との方針を示した。八重山漁協に対する損失補てんで当局は「今後、漁協の再建のためには信用事業の譲渡が絶対条件」(玉城葵水産課長) として理解を求めた。赤土流出防止対策では国の事業導入に向けて「郡民の要望として大規模に要請する必要がある」(屋比久清光民生部長)として大規模な要 請行動を行っていきたい考え。
 
 野底浄水場については知念氏の質問で土砂崩壊などによる追加工事費が約1億5000万円にのぼる見通しが示された。
 位置選定については水道部(大島正光部長)だけで行ったが、大浜市長は「この件があったからというのではなく、公共工事の位置選定は庁議で吟味して取り 組んでいきたい」と答弁した。
 知念氏は、水道会計で補正された工事費1億620万円について「使途がわからないのでは、委員会で審議できない」と指摘したが、大島部長は「現在行って いる地質調査の結果を受けた設計が出ないと分からない。概算で確保したい」と理解を求めた。
 大浜氏が取り上げた漁協の損失補償問題は、漁協が本年度中に信用事業を県信漁連に譲渡する際に借り入れる不足資金9億500万円について経営破たんなど で支払いできなくなった場合に市が補償(3億7万6933円)するもの。
 大浜氏は「市が補償することがないよう、漁協の役員、組合員に危機感が必要」と指摘、組合員一丸となった財務改善計画の遂行を求めた。
 赤土流出防止は大立氏が農家の立場から質問し、「土地改良した良質な表土のみが流れており、肥よくな土壌をも失っている。責任の一端は国にある。農地開 発の負の財産の到来」と述べ、国に働きかけるよう強く求めた。
 防止策は県営事業として導入されてはいるが、抜本的な対策には至っておらず、屋比久民生部長は「膨大な土地の対策が必要になってくるので、市、県ではム リ。国の予算で事業導入が妥当。強力に行動しなければならない」と述べ、郡民大会などで訴えていく考えを示した。
 
 市議会一般質問要旨
 
 情報通信
 大浜哲夫 県は情報通信技術講習推進事業として12月議会に6億6292万円を計上しているが、市はこの事業費を有効に活用すべきだと思うがどうか。
 池城安則企画室長 平成13年度で開催していく。現在、県と調整している。
 
 福  祉
 大浜哲夫 身障者通所授産施設・大浜工房(定員20人)では県に定員増を申請しているが、市も支援すべきではないか。
 新田幸市福祉課長 施設を拡張して(新たに)10人の受け入れが可能となった。補正予算で処置費を計上した。近いうちに県から増員の認可が決定されると 思う。
 
 ゴミ問題
 辻野ヒロ子 離島のために輸送コストで不利な面があり、県の補助はないか。
 徳山長壮環境保護課長 県からはっきりした返事はもらっていないが、宮古といっしょに要請していきたい。
 辻野 粗大ごみの中で再生可能なものに手を加えたリサイクル品を低価格で販売できる「リサイクルプラザ」の必要性があるのではないか。
 屋比久清光民生部長 ぜひ必要と思う。施設で展示して低価格で提供できるよう十分検討したい。

 女性行政
 辻野 今月12日に閣議決定した男女共同参画計画で女性の政策方針決定過程への参画、女性に対する暴力の根絶について力を入れている。市の今後の取り組 みは。
 池城企画室長 平成13年度で相談窓口の実現をはかりたい。

 野底浄水場
 知念辰憲 農家への補償費として26万6000円が計上されているが、支出理由はなにか。
 大島正光水道部長 管理道路から流れたビーチコーラルが周辺畑に流れ被害を与えた。サトウキビへの被害とコーラルを搬出するための費用。
 知念 管理道路から水が流れたのは業者の責任ではないか。補償費は業者がもつべきでは。今後の公共工事において、市が補償したら、どこまで波及するかわ からない。
 大島部長 水道部が敷いたビーチコーラルが畑にたい積した。物でみると私たちが使ったもの。

 港湾整備(宮良)
 宇根底智生 宮良海岸における漁船や各種船舶の避難港として建設できないか。観光産業などの利用港として建設はできないか。
 玉城葵水産課長 宮良については白保、大浜の周辺一帯の第一種漁港(地元利用)を考えている。
 下地為雄港湾課長 プレジャーボートの小型船着き場の計画は宮良湾岸ではない。

 農業(島内野菜の供給)
 大立致市 島内野菜の売り上げは平成2年で8億3000万円、平成11年度で2億9000万円に落ちた。消費拡大が必要と思うが。
 野原裕佳農政課長 島内野菜は自給率は30%に満たない。栽培技術向上を図りながら計画的持続的に生産しなければ安定供給はできない。現在、JAと農家 でどういう野菜が選んで生産していくか品目を選定しているところ。行政として生産体制の構築を強力に取り組んでいく。