軟弱地盤で2回設計変更
野底浄水場建設問題で委員会審査
位置選定の交渉経緯求める
市議会建設土木委
石垣市簡易水道の野底浄水場が地崩れのため工事が中断している問題で石垣市議会建設土木委員会(知念辰憲委員長)は27日、水道部から提出された地質調
査などの資料をもとに審査した。軟弱地盤、赤土流出、景観への各対策が工事の過程でどのように行われたのか疑問視、業者の施工計画書と行政側の事業計画書
などの提出を求め、次回の委員会で審査することを決めた。また、委員会では今回の問題を機に公共工事のあり方について当局に対する提言をまとめることにし
た。
同浄水場をめぐっては位置選定、地質調査、設計、施工、赤土対策(環境対策)、景観配慮が問題となっている。委員会には大島正光部長と山城武範工務課長
が説明員として出席した。
委員会では、擁壁部分の地質の大部分が軟弱地盤であることが地質調査結果資料でわかった。
水道部によると、地崩れを起こした擁壁部分は2度の設計変更を行い、コンクリートで強固にしたほか地崩れ防止のための抑止杭30本を打った。しかし、台
風と集中豪雨によって抑止杭を打ってない部分ののり面が崩壊、さらに抑止杭の部分も動圧によって擁壁のひび割れが広がって擁壁自体が曲がってしまった。
委員はこの設計変更について「設計ミスではなかったか」「ミスだったら賠償問題になる」と追及したが、大島正光部長は「地質調査をもとに設計されてお
り、予想外の雨だったので崩壊した」「設計者と検討した結果、杭を打つことで大丈夫と思った」などと認めなかった。
景観上の問題や赤土対策については「景観形成条例や自然環境保全条例をクリアしたか」との質問に大島部長は「クリアした。赤土については保健所と協議し
た」と述べたが、委員会ではこれに関する交渉経緯を示すよう求めた。
位置選定は▽運転経費などの面から既存の吉原浄水場と荒川取水源に近い場所▽予備水源取水可能な場所−の条件を考慮されたが、委員は「赤土流出問題や景
観上の問題を含めて検討したのか」と追及。これに大島部長は「(文書に)書かれた経緯しかわからない」と述べるにとどめたが、「今回の場合は、水道部だけ
で選定したと反省している。部長、課長などの全体会議で進めるべきだったと反省している」と改めて全庁的に事業を推進するべきだったとの考えを示した。
次回の委員会は12月1日。この日でこの問題についての審査を終えることにしているが、審査が不十分であれば特別委員会設置の可能性もある。
■市議会建設土木委員会が審査している野底浄水場の工事中断問題は現
在、再地質調査が行われている。水道部はこの結果を受け、工法を検討した上で設計変更する。このための予算を12月議会で計上する考えだが、設計変更とそ
れに伴う工事費がばく大になれば「賠償を求める市民運動が出てくるのではないか」とする声も。
|