八重山毎日新聞
2000年 9月11日(月) 

 
24日前後に一斉調査

市民レベルで初の赤土汚染チェック

石垣島全域

 市民が参加して石垣島全島で行う赤土汚染調査が24日を中心にして行われることが決まった。市民レベルで行う初めての全島一斉調査。 赤土による「泥染め」や干潟観察などを組み込んだイベント的な調査を24日に宮良湾で行うほか、その前後で、全島を網羅する15区域合わせて65ポイント で調査することになったもので、調査ポイントは合わせて80ポイント。調査を主催する赤土監視ネットワークなどでは、調査を継続して汚れの変化を把握しな がら、赤土防止対策に必要な資料を集積していく考え。

 漁民やダイバーが昨年6月に発足させた連絡組織、赤土監視ネットワークは「人間活動や公共工事の影響を受けたサンゴ礁の海を回復させ る」ことなどを目的に、赤土流出に関連した記録の集積を行うことにしており、今回の全島調査はその一環。
 24日に行う宮良湾の調査は、午前10時50分の干潮時に合わせて実施。赤土調査に必要な土の採取のほか、干潟の自然を観察して、赤土汚染が自然環境に 与える影響について考えることにしている。小学生の参加者には木綿の白い布を配り、調査ポイントの海水に浸して染める「赤土泥染め」を行う。当日、会場で 展示して、海の汚れをアピールする計画。調査ポイント15カ所では、先月30日にくいを打ち込む作業を済ませている。
 24日に前後して行う調査は、新川、名蔵湾、崎枝、川平、米原・野底、伊原間、平久保、伊野田、白保、宮良の10区域合わせて65ポイントで実施。ダイ バーや漁民、環境庁職員らが区域ごとの責任者となり、調査を行う。
 今回の全島調査では、メスシリンダーなどの簡単な器具やいらなくなったペットボトルなどを利用して行う底質中懸濁物質含量簡易測定法(SPSS測定法) で実施する。考案者の大見謝辰男・県衛生環境研究所赤土研究室長による実習が6月に市内で開かれ、簡便さが注目された。世界自然保護基金日本委員会 (WWFJ)が8月に行った赤土調査でも採用されている。


<「赤土泥染め」>
「轟染め」という言葉をご存じだろうか。轟川の調査をしているうち に、着ている服が轟川の赤土で染まってしまうことを指した言葉で、改善の兆しの見えない赤土汚染を皮肉っている。24日に宮良湾で開かれる赤土汚染の調査 でも、白い木綿の布を赤土で濁った海水で染める「赤土泥染め」を取り入れる。そうやって染めた布を何枚も並べて、赤土汚染を見つめ直そうというわけだ。見 事に染まってしまうのか、大して染まらずに安心することができるのか、興味津々だ。